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輪廻は廻る 〜異世界、アンジェの奮闘記〜

第一部 子爵領幼女編

第七話 アンジェ、街へ行く


 またまたまたまた、朝が来る〜2週間待った。
(いやいや、記憶が戻って4日だろ!何と、アンジェがスルーだと。あ~、聞こえないくらいに、楽しみなのね。)

 待ちに待ったご褒美の日である。

 ミリーが、朝食へ呼びに来た。「アンジェ様、おはようございます。今日は、天気もよいですし、お出かけ日和ですね。」
「でしょでしょでしょ、隅々まで、探検しなきゃね。その為には。」
 ミリーを鋭く見つめると
「沢山、ご飯を食べなきゃね!」 
 ミリーは、
「沢山は余計ですよ。」
と食堂へ向かった。

 何時も、アンスの料理は美味いのである。今日のメインは魚の香草焼き、サラダにパンとスープだった。

 アンジェは、有言実行とばかりに、綺麗に食べる食べる食べる。(食べ過ぎじゃね?)
 お父様から、
「マナーは、マシになったようだな。一口が大きいのと、量が問題じゃないかな。」
 少し不満げに言うと、お母様は、
「そのくらいなら、公式の場で抑えることも出来るでしょ。」
と笑う。

 アンジェは、
「これから、支度をして街へ行ってくるわ。
今日は、アニー姉さんもミリー姉さんも一緒だから、問題ない問題ない。」
(行ってくる。とか行ってくるぜ。とか言いたい。おかしいなぁ。
アンジェ、どうしたんだ、と言ったてみたが?
アンジェは、分からないので答えようがない。)

 部屋で、ワンピースに靴、帽子と着替え終えて、アニーとミリーを待つと。

 アニーは、薄い黄色のワンピースで青髪が綺麗で大人っぽい、ミリーも同じ薄い黄色の黄色のワンピースで緑の髪がお似合いだ。

 「さぁ、行きましょう。」
 アンジェの声に
「かしこまりました。」
と2人が続くが、アンジェは手のひらを前に出すと
「かしこまり過ぎ無い?
設定を伝えます。
2人は双子で、私は妹でお願いね。
バレても構わないのだから、様も禁止です!」
 『ガ~ンガ~ンガ~ン』とアニーとミリーが戸惑いショックを受けている。
(当たり前だよな〜。まあ、アンジェの気持ちも分からないでは無いが。)

 いよいよ、子爵邸を出て街へ。
と言っても、少し高い所に家があり、坂を下り小川を渡ると街である。
 アンジェは、バタバタと走り小川の橋を渡ると、キョロキョロと見渡す。
さっそく
「アニー姉さん、真っ直ぐ行くとどうなるの?」
 悪戯っぽく、ニャッとしながらアニーを見る、
「街を囲んでいる壁と正門があります。
これが、中央筋ですよ。
お店も沢山あります。
また、ここから街の中央に広場があります。
そこから、左右に行くと東門と西門に繋がります。
これを、中央道と言います。」
アニーは、怯まなかった!

 『チッ』とアンジェは、
「なら、中央広場まで行ってみましょう。」
と切り替える。

 アンジェは、ルンルンとスキップをする。
 アニーとミリーは顔を会わせると
「何でしょう?ダンスの練習かしら?」
と後に小走りで続く。

 アンジェは、周りを見ながらお肉やお魚のお店や野菜のお店を見て回る。
 剣や防具に服飾店もあった。

 広場らしき所まで来ると、人が多くなる。
 左に2つと右に1つ大きな建物がある?
 「アニー姉さん、あれは何?」
と聞くと
「左の方は、ハンターギルドと商業ギルドですね。反対に右の方は、教会になります。」
「ほ〜、傭兵や冒険者じゃないのかぁ。」
と呟くと
「傭兵?冒険者?とは何ですか?」とミリーが言ってきた。

 聞こえてたかぁ。地獄耳め!と心で叫ぶ。
「依頼を貰って、護衛や盗賊退治や、街の清掃を纏めてるところ?みたいな。」
 アニーは、
「アン・ジェさ・、概ね合っていますが、他に兵士と一緒に戦ったり、魔獣の討伐もしています。」
 ぎこちない呼び方だが、だがしかし
「最後に魔獣って、言ったわよね?
それって、もしかしてゴブリンとかウルフ、オークとかオーガみたいのがいるの?」
 アンジェの話に、
「そうですね、種類も様々ですが下位〜上位種まで、情報があれば依頼をします。」
(おぉ、ファンタジーやないか〜い。やっぱり、地球じゃない異世界だ。おら、ワクワクしてきただ。
『ぶふっ!』何よそれ。
アンジェの攻撃に俺は5ダメージを受けた。
初めての異世界だ、そうなれば次に聞くのは魔法、魔術があれば完璧だ!
何よ、魔、魔って闇落ちするの死んじゃうの?
更にアンジェの攻撃10ダメージを受けた。
良いだろう、少しくらいは、聞いてみてくれよ〜。
仕方ないわね。)

 「ここでは、ま・ほうっ、とかま・じゅつってあるのかしら?」
するとアニーが、しゃがみ込むと耳打ちで
「まだ、教えてもいないのに!いいですか、魔法の才は少なく成人の儀で稀に使い手が見つかります。
 魔術も同様ですが、最近は守りの護符や罠の刻印の術など多くあります。
 誰でも使えるものではありません。」
(ん〜。となると、8歳までお預けか〜。残念、残念だぁ。
あ~もう、いつもいつも、残念残念ってうっさいのよ!
早く成長しろよ!明日、8歳になれ〜。ウハハハッ。
もういい。アンタなんか知らないし。)
 「右の教会は何をするの?」
 アニーが、
「こちらは、先程の成人の儀を執り行う所です。
 アン・ジェはデビュタントがお披露目の場になりますので、教会へは、ご家族のみになります。」(チーン、もう特に興味はない。稀な才が、俺にあるものかよ。今のアンジェを見れば分かる。絶対無い!
 何よそれ!やってみなければ分からないじゃないのよ。
 イヤイヤイヤ、今まで期待したこともあったが、全て期待を外すのが俺だ!
 何、威張ってるのよ、そこは期待しなさいよ〜。)
 アンジェは、
「少し疲れたわ。
何か食べ物と飲み物が欲しいわね。何処にあるのかしら?」
 ミリーから、
「ギルド方面は、屋台もありますし小休止に致しましょう。」

「何にしようかなぁ。」
肉の焼けた匂い、魚の焼けた香ばしい匂いに『ジュルリ』とヨダレが溢れる。
 「これに決めたわっ。
肉と魚の焼き串にお水をお願い!」
(全部じゃねーかよ。)
 ミリーが、
「アンジェ、全部じゃないですか。」
(俺と同じ意見だな。)
「もう、1本ずつですよ。」
 ミリーが戻ってきたが、手には肉と魚の串が1本ずつと水をのコップだけであった。
 「ミリー姉さん、どういう事なの?
1人分しか無いじゃない。」
 えっ、という顔でアンジェを見ると
「アニー姉さんもミリー姉さんも一緒に食べるの!良いでしょ。」
 ミリーが、
「いえ、それでは立場の者として」
「言ったはずよ。姉妹なのだから、当たり前じゃない。同じ物を人数分買ってきて頂戴な。」
 アンジェは、ニコッと笑うとアニーもミリーも照れくさそうにして、ミリーはまた買いに行った。

 3人とも、木陰の下に座ると、これからの行き先などを話ながら、食べることにした。
 アンジェは、焼串しを食べてしまうと、指に付いた塩をペロペロと舐めた。
 すると、アニーから、
「何をしているのアンジェ!」
と青筋を立てた形相でお怒りだった。
「ハンカチが、何の為にあるのですか?行儀が悪すぎます。」
あちゃ~、
「ごめんなさい。」
と素直に謝る。ハンカチで、手を拭くとアンジェは、
「正門まで行って、戻りましょう。」
 時間の許す限り、歩き回らなきゃ勿体ない。

 広場を抜けると、またお店が並んでいる。値段は、さっきよりも安く売っている。
 「こっちは、あまり裕福ではないのね。でも、お店はちゃんとしているみたい。」
 ミリーが、
「そうですね。街は、広場から円を描くように富裕層から貧しくなって行きますが、門に接している中央筋や中央通りは治安は良いですね。」
と言うと、
「なら、西門からの奥や東門からの奥は、荒れているの?」
 歩きながら、今度はアニーが、「左の西門奥は貧民街、右の東門奥は孤児院がありますので、お気を付けてくださいね。」
 正門へ辿り着くと、門兵は私達に気が付くと、右手を胸に当て礼をする。
 見たことのある、兵達だと思ったら、アニーとミリーが挨拶をする。
「アンジェ、兵士さん達は交代で門の見張りをしてるけど、訓練場でも鍛えてるから顔を知ってる人もいるでしょ。」
「そうだったのね。いつも、ありがとう。
今日は、私達は庶民の姉妹で来てるから、これからもお願いね。」
 アンジェの言葉に、
「お嬢様、了解しました。」
と兵さんが言うと、
「聞いてたの、庶民の姉妹なの。アンジェで、構わないわ。皆にも伝えておいてね。街ではアンジェで、呼ぶようにね。」
 兵士さん達は顔を見合わせ困った顔をしている。

 「目的も達成したし、帰りましょ。アニーもミリーもお腹すいたでしょう?」
「いやいや、アンジェと一緒にしないで。」
2人息もピッタリだ。

 中央広場には、子供たちが遊んでいた。
「次に来た時は、一緒に遊びたいわね。」
と話ながら、子爵邸へ帰った。
 「お父様、お母様、今日は楽しかったわ。」
と街での話をする。
 夕食も美味しいく沢山食べると何時もより、お腹に入っていく。
 お母様から、
「もう、それくらいにしなさい。
出かけてお腹が空いたといっても、限度があるですよ。」
 仕方ない、ドクターストップが掛かってしまっては、諦めよう。