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機械音痴

私の母は、とにかく機械を扱うことが苦手だ。母が使う機械とはスマホと最近仕事で使い始めたパソコンとテレビ(Fire stickを含む)のリモコンくらいだ。最近はネット社会で、たくさんの電子機器を使うことで生活が成り立っているように思う。そんな社会についていけない母が、とても面倒で面白い。
 母は、パソコンで名前を書くときに姓名の間にスペースを空けたいらしい。しかし、どこを押せばいいのか分からず、とても困っている。一度スペースと打ってみたが、スペースという文字しか入らないと言う。「山田スペース花子」だ。スペースというミドルネームがついてしまった。
 じゃあ、改行の仕方はわかるのか尋ねた。数分考え、出た答えは「矢印がギュインとなってるボタン」。正解ではある。私はこれからEnterキーのことを矢印ギュインと呼ぶことにする。
 さらに、畳かけるように「」の打ち方が分からないと言う。数字の所にあるのはわかるが、打っても打っても数字しか出てこないらしい。私はShiftを押しながらその数字を押すといいと言ったが、そもそもShiftが分からなかった。母には申し訳ないが、私は教えることを諦めた。なぜなら数字の所のかっこは「」ではなく()であることに気づき、「」を打ちたいのであれば、ひらがなへの変換方法から教えなくてはならず、母は必ず混乱すると思ったからだ。
 スマホに関しては、LINEで電話をしながら写真を送信することに物凄い時間がかかる。反対に、受信した写真を見るのにも同じくらいの時間がかかる。チャットでの誤字も半端なければ、送信相手のミスまでもする。
 一緒に住んでいないからこそ電話上で教えることは難しいし面倒だ。しかし、一生懸命だからこそ、とても面白い。
 確かに、母が子どもの頃は携帯電話なんて一切なくて、携帯電話が普及し始めて手に取った携帯電話はガラケーだし、スマホなんて使うのが難しいに決まっている。
 では、高校生の頃からスマホを使用し始め、大学ではパソコンを使っている私は、大人になると母のようになるのか考えてみた。最近知ったが、メタバースというよく分からないものがやってくるらしい。友人曰く、今の世界にインターネットが普及し革命が起きたくらい、凄い革命的なものでいつしか主流となるものらしい。
 もうすでによく分からない。約40年後、母と同じ年代になった時に子どもから呆れられながら教えてもらう未来が見えすぎている。もう時代遅れになることを察している。最先端に頑張ってついていくしかないのか。そもそも最先端とは何なのだろうか。がんばれ母と自分。


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