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『青い塩』

2011年の韓国映画。
監督はイ・ヒョンスン。
主演はソン・ガンホとシン・セギョン。

ヤクザを引退したドゥホンは、夢であった飲食店を開くために料理教室に通い始める。
そこでどこか影のある女性セビンと出会い、ドゥホンはセビンのことを級友と呼ぶほどの仲になる。
しかしセビンは、友人の借金を返す為にドゥホンの動向を調べさせられており、最終的にドゥホン暗殺を命じられることに。
ドゥホンはセビンが自分の命を狙っていることを知らないが、ヤクザ時代に兄貴分だった会長が死んだことをきっかけに、色々と調べ始めることで、セビンが自分の命を狙っているということを知る…。
ドゥホンを殺さないと自分や友人の命がないセビンと、裏社会からセビンを逃れさせようとするドゥホン。
果たして2人の運命は…。

といった感じのストーリーです。


要所要所で「塩」が登場するこの映画。

セビンがドゥホンに、「人生には大切な3つのグムがある」と言います。
1つ目は、ファングム(黄金)
2つ目は、ソグム(塩)
3つ目は、セビンの口からはドゥホンに伝えられませんが、ドゥホン自身が自分の言葉で、チグム(今)と付け足します。

またセビンは、料理に沢山の塩を入れたり、元狙撃の五輪代表の経験を生かして、自分で銃の弾を自作し、それを塩で作ったりしています。

ラストシーンも田塩で繰り広げられたりと、「塩」がこの映画の重要なテーマとなっています。
ラストの結末も、「塩」がかなりキーポイントになっています。完全ネタバレになってしまうので、ここでは控えておきます。予想がつくかたはすぐ分かるかもしれないですが…。


恋愛映画とアクション映画のちょうどいいバランスが取れいて、ストーリーも分かりやすく122分という長さをあまり感じない作品です。

The恋愛映画という感じではなく、ドゥホンとセビンの距離感が絶妙に良くて、お互いが意識し合っているのは一目瞭然なんですが、それでいてお互いが近づき過ぎない、あの距離感が素晴らしいなと。そこにはお互いの立場が関係していますが。
料理教室でのドゥホンはただの中年男性という感じで、セビンは気の強いしっかりした女性という印象なんですが、実はお互い全く逆の性格で、それが徐々に描かれていく演出も良かったです。

ドゥホンを演じたソン・ガンホは、もう言わずもがなですね。
この人にできない役とかあるんでしょうか?
料理教室でのあの頼りない感じからの、元ヤクザとしての腹を括っているあの立ち振る舞い。お見事でした。

セビン役のシン・セギョンも素晴らしかったです。
本当はすごくか弱い女性だけど、強く振る舞う感じ。バイクに乗る姿はすごくカッコいいんですが、それも強い女性を演出する為に乗っているのかと思わせるくらい、根はとても優しい性格。
強い女性でなければ生き抜くことができない。そう思い過ぎているセビンにとって、ドゥホンの存在はとても大きかったんだなと。
ドゥホンがセビンを背負いながら、「こんな弱い子が誰を殺せる。」と言うシーンはとても印象的でした。


所々で個人的に好きなシーンもいくつかありまして。

セビンがドゥホンを連れて行く行きつけのお店。
ここが海岸のすぐ近くにあるお店で、鍋の具材は全てセルフで取る仕組み。
で、魚介類が少なかったりすると、お店のおばちゃんが海に取りに行ってくれる。
穴場中の穴場って感じがして、そのロケーションもすごくいいんですよね〜。すごく行きたくなるお店です。

劇中僕が好きな映画『SUNNY 永遠の仲間』をドゥホンとセビンが2人で観ていたり、カラオケでセビンが2NE1の曲を歌っていたり、好きなものが出てきて、ニヤけてしまいました。

あと細かいですが、ドゥホンの部下のエックがセビンが作ったタラ汁を食べるシーンで、エックの皿の持ち方がすこし行儀が悪いところが、多く語られない彼のバックグラウンドをあれだけで表現していたなぁと。


こっちが照れちゃうような恋愛映画はちょっと…
ドンパチ激しすぎるアクション映画はちょっと…
でもどっちのジャンルも嫌いではない…

みたいな人にオススメの映画です。
観たことがない方は是非。

以上、海上の塩映画noteでした。



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