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Spotify Weekly Music 8/5 〜 8/11/2020

グラフランツのデザイナーの一人であるダニエルランツによる、いま最もお気に入りの一曲をご紹介するプレイリスト『Spotify Weekly music』

プレイリストはこちら

※ご注意※
こちらのプレイリストは毎週更新されます。

毎週更新されるこちらのプレイリストですが、今週の一曲はこちら。

1,Just Like a Woman / ニーナ・シモン


アーティストの本質はライブにあると思わせてくれるほど、
彼女のライブは自由で輪郭を持たず、それこそどこへ向かうかは
観客はおろか自身でさえも分からないのではないかと思わせる
魂を揺さぶるパフォーマンス。

歌っているともいえるし、語っているともいえる。
その姿はあまりにも自然体で、観客は彼女の一挙手一投足に
注目せざるを得ず、気づけばその世界に大いに引き込まれている。

ニーナ・シモン(1933年2月21日 - 2003年4月21日)
アメリカ合衆国のジャズミュージシャン、
ピアニスト、公民権運動家。
1950年代から1960年代にかけて、黒人の人種差別解消を
求めて行われた大規模な公民権運動にも積極的に携わりました。

ノースカロライナ州で生まれた彼女は、良き師に恵まれ、
音楽の素養を大きく伸ばしていきました。
しかし、素晴らしい音楽の才能に恵まれながらも、
肌の色を理由に音大への入学を拒否され、初めて
差別の壁を感じることとなりました。

転機

生活費を稼ぐためにバーでピアノを弾きながら、
歌も歌うようになります。
そのバリトンのような深みのある歌声と、
ジャズにフォークの要素を取り入れた新しい表現は
彼女の魂そのものであり、聴く者の魂を大いに
揺さぶるものでした。

やがてその歌声と名声は人々の心を掴み、アメリカだけでなく、
世界中を駆け巡ることになります。

変化

結婚し、新しい住まい、娘の出産を経て、
母親としての喜びも、財産や名声も
得られるようになっていく中で、
夫から受け続けた暴力や、
前述の公民権運動へののめり込みから、
自身の言動もますます過激になり、
精神的にも不安定になっていきます。

やがて、夫とは離婚。全てを捨てて
自身の" 故郷 "であるアフリカ大陸(リベリア)へ
移住する決断をします。

ここでの生活は素晴らしいものでした。

全てが自由で、人生を謳歌できる場所。
差別も暴力もないこの場所こそ自身が
望んでいた世界でした。

暴力と破滅

しかし、やがて彼女自身が受けていた暴力を
実の娘へ振るうことになります。
身の危険を感じるようになった娘は実父を頼り
ニューヨークへ。
一人残された彼女自身もやがて生活に
困窮するようになり、仕事を求めてスイスへ
移住することになります。

伝説のライブ

スイスのモントルーで行われたコンサートが、
冒頭で表現したような素晴らしいライブとなりました。

彼女のライブの中でも最も彼女の魂が表現されたライブであり、
最も聴く者の心を代弁したものであり、
心の震えるものであったと言わざるを得ません。

特に冒頭に歌われるジャニス・イアンの「スターズ」の
カバーは、表現者として素晴らしいものでした。
詳細は以下の動画から。

2015年にネットフリックスで公開されたドキュメンタリー「ニーナ・シモン 魂の歌」でもこちらの映像が使われています。
(このドキュメンタリーは是非観て欲しい!)

その後はフランスやオランダを転々とし、
かつて共に音楽を作った仲間の支えもあり精力的に
音楽活動を展開。

乳がんでこの世を去るまで、多くの人々に
感動を与えてきました。

自由を求め、自由のために戦った人生。
凄まじいほどの命の輝きを見せて
いただきました。

それほどの人生のアップダウンを
見せてくれた彼女の生き方に敬服せざるを
得ません。

後世の多くのアーティストが彼女の曲を
カバーしたり、その歌声をサンプリングしています。

大統領選に出馬を表明したKanye Westの " Blood On The Leaves "

Black Lives Matter運動の機運から
再び彼女が脚光を浴びるようになりました。

しかし、公民権運動が彼女から全てを奪い、
彼女の精神を一気に破壊するに至った。

もちろん人生はグラデーションであり、
原因がこの一事にのみあるとはいえません。
しかし、大きな推進力になったことは
間違いありません。

正しいかのように見える行いの中にも
悪魔は潜んでいる。絶対的な正義など無い。
私たちは難しい問題を突きつけられています。

いかがでしょうか。
今週はぜひ身近な人を思いやる一週間にしてみませんか。

こちらのプレイリストを気に入って
くださった方は是非忘れずフォローをしてくださいね!

プレイリストはこちら

さて、グラフランツのSpotifyアカウントでは
デザイナーの一人であるDaniel Lantz(ダニエルランツ)が
セレクトした彼の最近のお気に入りの14曲を集めた
『Daniel's favorite songs』のプレイリストも公開しています。
プレイリストごとにフォローすることも
可能ですのでぜひチェックしてみてください。

全曲こちらのnoteで解説しておりますのでぜひチェックを。


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