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林美沙希さん

テレビ朝日で平日の午前11時45分から放映されている『ANNニュース』が好きだ。

いやもっと正確かつ正直にいうと、ニュースを読んでいるときの林美沙希アナウンサーが好きだ。

林美沙希
画像引用元:アナきゃぷ速報

端正な顔立ち。
低く落ち着いた声。
プロの訓練を受けたアナウンサー特有の発声。
滑舌のよさ。
言葉の心地よいリズム。
センスのよい上品なファッション。

「視聴」ではなく、もはや芸術作品を「鑑賞」している気分になる。
プロ意識とアナウンサーの技がひしひしと感じられる。

私は本来ニュースは好きではない。
気が滅入るような出来事が次から次へと報じられる。
それでいて、報道する側にとって都合の悪いニュースは決して表に出てこない。
それにもかかわらずこんなにも見たくなるというのは、それらネガティブなものをすべて帳消しにして、さらに余るほどの魅力を美沙希さんが持っているからにほかならない。

美沙希さんはアナウンサーでありながらプロ雀士でもあって、そういう意外性にも惹かれる。
麻雀実況者を目指して奮闘したり、釣りに挑戦したり、ほかの番組に出演されているときももちろん可愛らしい。
しかし、あの15分のニュースの枠に入っているときは格別に輝いている。

ほかの番組で見かける美沙希さんはいつも口角をキュっと上げて、にこやか。
すこし顔を赤らめ、恥ずかしそうに笑う。
ところが『ANNニュース』となると、別人のようにクールで凛々しくなる。
ニコリともしないその表情は、少し哀しげにも見える。
あんなに哀しそうな顔で美人に見つめられる状況は、今後の自分のリアルな人生には絶対に訪れないだろう。
(『ANNニュース』では原稿がカメラの位置で確認できるようになっており、美沙希さんは常にカメラ目線である。)

そうだ。この感情は、高校生のころにアイドル歌手を好きになったときとよく似ている。
その人のプライベートの姿はまったく知らないのに、一方的に恋心を燃え上がらせている。
還暦も近いジジイがこんな気持ちになっているだなんて、誰にも口が裂けても言えない。

幸いなのは、この年齢になると少しは賢くなっていることである。
「美沙希さんが恋人になってくれたらどんな気分かなあ」などという不毛な想像をすることは決してない。
熱愛報道や結婚報道が出ても、寝込んだりすることはないだろう。
直接会える機会があったとしても、行くことはないだろう。
自分の姿を見られる恥ずかしさのほうが勝ってしまうから。

これまで内心ちょっと軽蔑していた「韓流スターの推し活」をする熟年のご婦人方を、もうバカにすることはできないなと思う。
過去に見下していた人の立場に自分がなってみて、実際に見下されてみることは悪くない経験だ、とも思う。

ああ、美沙希さん。好きだ。

タイトル画像引用元:『テレビ朝日 アナウンサーズ』公式X(@announcers_EX)

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