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AR体験(拡張現実)の未来を予想してみた

※弊社テックブログより移行しております。
https://tech.graffity.jp/entry/ar-future

ARKit・ARCoreという簡単にスマホでAR体験を作ることができるSDKが2017年にリリース、2018年には、Magicleap OneなどのヘッドマウントARデバイスがリリースされ、AR(拡張現実)がより注目されるようになってきております。

Graffityは、2017年10月に創業し、いち早くARイノベーションに取り組んできました。AR体験を仮説検証していく中で、多くのことがわかってきました。日本から世界へARベンチャーが活躍できるよう微力ではありますが、AR(拡張現実)に関することをまとめて行きたいと思います。

AR体験とは?

AR体験はコンテキストを理解すること
まず、多くの人が勘違いしていることがあります。それは今まで出てきているアプリを見れば一目瞭然です。

すごい!恐竜が出た!と思うひとが多いと思いますが、このようなアプリがとにかく多いです。

なぜそこに恐竜が出るのかという、コンテキスト はここに全くありません。
一度、すごい!とは思いますが、二度目体験したいと思わないでしょう。
上記をうらずけるような動きがあり、Apple、Googleでは、このようなただ空間に何かを出す体験を提供するアプリを承認しなくなってきています。

AR体験は、リアルタイムな画像データと位置情報からコンテキストを理解し、現実世界を拡張する体験なのです。

AIとARの関係


リアルタイムな画像データからどのようにコンテキストを理解することができるのか?
そこで重要になってくるのは、AIにより大きく発展した画像処理技術です。

AIは今後大きくマーケットが伸びていくと言われていますが、AIのコンシューマー向けの事業は何でしょうか?
DeepLearningによりAIは大きく発展して行きましたが、その中で大きく伸びている分野は、画像処理と言語処理です。

言語処理のコンシューマー向けの事業として考えられるのはボット事業ですが、もともとAIの研究をしていた自分の中では、言語処理のDeepLearningで人間のような受け答えを実現することは非常に困難です。ボット事業で今伸びている会社も、DeepLearningではなく、古典的な機械学習技術を使い、ルールベースで作っています。ここが本命ではありません。


そうすると、画像処理に注目するわけですが、まさにこの画像処理を用いてコンシューマの市場が、AR(拡張現実)市場になります。
つまり、AIのコンシューマー事業でもっとも成長する市場はAR(拡張現実)市場なわけです。

ARデバイスとAR体験

3つのARデバイス
ここでAR(拡張現実)といえば!と想像するものとは何でしょう?
一般的に想像するのはSFの世界、SAOの映画版の世界観でしょう。

この世界の実現はまだまだ時間がかかります。期待しすぎています。

ARイノベーションは3つのステップを踏んで、このような世界になって行きます。

スマホAR -> ヘッドマウントAR -> スマートグラスです

それぞれのARの体験

では、それぞれのAR体験はどのような体験になるでしょうか?
キーワードは、能動・受動という言葉です。

スマホARはアプリを起動して、スマホをお通して現実を見なければならない、ヘッドマウントARはデバイスを頭につけなければいけない。両方とも体験をする際に、能動的な動作が必要になります。
よって、強い動機を利用した、能動的なAR体験が今後10年は主流になってきます。

その次にやってくるのが、スマートグラス。日常的につけるウェアラブルデバイスです。
ヘッドマウントARとの違いは、軽量化・バッテリー長時間化というところでしょうか。
スマートグラス時代では、常に身につけるためAR体験は全て受動的になります。ようやくみんなが想像するAR世界の実現です。

ヘッドマウントARデバイスの普及にも時間がかかる今、注目すべきは必然とスマホARになると思います。
スマホARにも3つのイノベーションがありそれを具体的に紹介していきたいと思います。

3つのスマホARイノベーション


スマホARのイノベーションは3つあり、インカメラAR・アウトカメラAR・共有ARです。

ここからは、具体的にインカメラAR・アウトカメラAR・共有ARを実現する技術とそのAR体験を紹介して行きたいと思います。

インカメラARイノベーションとAR体験

インカメラARテクノロジー
インカメラARテクノロジーの中心は、顔認識技術です。こちらはDeeplearningによって大きく発展した画像処理技術の一つです。

スマホで動く顔認識技術はかなりよくなっております。取得できる特徴点の数、デプスの正確な推定ができてきつつあります。 iPhoneXでは、インカメラにセンサーが導入され画像だけなくセンサーを使ったデプス推定で、多くの特徴点を取得できるようになってます。
Snapchatも顔認識技術のオープンフレームワークをリリースしました。顔認識技術は完全にコモディティ化しており、インカメラAR市場への参入は非常に簡単なものになっております。

インカメラAR体験
インカメラARの体験の中心は、顔フィルターとして、アバターになります。

・顔フィルター
Snapchat、インスタグラム、SNOWなどを中心にユーザーが利用しております。

・アバター
こちらは、Appleが提供しているMemojiですが、日本ではVtuberを中心にユーザーが利用しております、

アウトカメラARイノベーションとAR体験

アウトカメラARテクノロジー
アウトカメラAR技術はたくさんあり、列挙すると以下のようになります。

・画像分類
・物体識別
・物体追跡
・セマンティックセグメンテーション
・インスタンスセグメンテーション
・姿勢認識

それぞれの技術の具体的な説明は、以下のブログにまとめているので、気になった方はチェックして見てください。 

アウトカメラAR体験
アウトカメラAR体験は、リアルタイムにコンテキストを理解し、情報を表示することになってきます。
ここではPokemonGoを提供している、Niantic社がリードしております。例えばオクルージョンという技術により、リアルタイムにその場所の認識ができるようになり、ポケモンが人や物体の後ろに隠れるというリッチなAR表現ができるようになります。

また、画像検索というのAR体験の一つだと思います。

共有ARイノベーションとAR体験

共有ARテクノロジー
共有ARテクノロジーの中心となるのは、ARCloud技術。ARCloudとは現実を3D化しクラウドに保存する技術をさします。
この技術により、空間を共有、空間に保存できるようになります。

こちらも詳しくは、別の記事でまとめているので、気になった方はチェックして見てください。

共有AR体験
共有AR体験はまだどこの会社も検証中だと思いますが、Graffityではいち早く2017年に「空間に落書きを残せるアプリGraffity」をリリースしたりしてました。

そして2018年12月にGraffityではリアルタイムに共有体験として、ARシューティングバトル「ペチャバト」をリリースしました。

まとめ

様々な事例を紹介しながら、これから起こるARイノベーションを考察してきました。 未来を楽観的に予測するのではなく、現実的に見て行きました。以下が今回のポイントになってきます。

・AR体験はコンテキストをリアルタイムな画像データと位置情報を元に理解して作ること
・ARはAIによる画像処理技術をベースとしている
・ARデバイスは、スマホAR -> ヘッドマウントAR -> スマートグラス の順番に普及
・スマホARは、インカメAR -> アウトカメラAR & 共有AR の順番に普及
・インカメラARは、顔認識をベースとした、顔フィルター&アバター(Vtuber)
・アウトカメラARは、画像処理技術をベースとした体験
・共有ARは、ARCloud技術をベースとした体験

最後に


Graffityは一年間ARの体験に関して仮説検証してきました。ペチャバトもグローバル初でこのようなAR共有体験をリリースすることができており、世界と同じ水準、さらに超えるくらいのスピードで検証できていると感じています。
ユーザーにとってAR体験とは何かを引き続き検証して、世界でもトップレベルで良いAR体験を作っていける会社を目指していきます!また来年もこのような形でまとめることができればと思います!応援よろしくお願いします!

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