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ARシューティングゲーム「Leap Trigger」を作り上げた仮説検証の仕組み

こんにちは、Leap Triggerプロデューサーのしょーたです。

今日は、先日ついに日本版を公開したLeap Triggerの開発について書こうと思います。

その前に、、、
Kickstarterで支援してくださった日本の皆様、大変お待たせしました!!!! 皆様のご支援のおかげで、ついに日本版をリリースすることができました、本当にありがとうございます!!

仮説検証スプリントの仕組みについて

Leap Triggerはまだ世界的にみてもほとんど事例がない、バトルのコア部分にAR機能を取り入れたゲームです。そのため、参考にできる既存タイトルがほとんど存在せず、体験の大部分を仮説検証を通して、手探りで作り上げる必要がありました

AR体験を作るときは、実際に動くものを作らずに行うアナログプロトタイピングの手法も重要ですが、やはりそれ以上にコーディングを通して機能を作って体験することが肝要です。

Graffityでは、以下のプロセスを通して仮説検証を行っていました。

  1. 理想的な体験と、現状の体験の差分から、「解決するべき課題」を設定する

  2. 解決するべき課題に対して、いくつかのアプローチを検討して、施策として設定する

  3. 施策についてチーム全体で議論し、どの施策が有効そうかの初期仮説を決める

  4. 初期仮説を検証するための最小限の仕様を作成し、実際に実装してみる

  5. 実装したものをチームで体験し、初期の評価を行う

  6. 評価の結果、筋が良さそうだと判明した場合、ユーザーインタビューを設定してフィードバックを収集する

  7. フィードバックをもとに初期仮説の有効性を判断し、次のスプリントに向けた課題を設定する

上記のプロセスを一つの仮説に対して2週間前後で実施しながら、体験をブラッシュアップしていきました。

最終的に、リリースまでに50回近くのユーザーインタビューを通してLeap Triggerが完成しました。

US版開発時の検証方法

Leap Triggerは日本版リリースに先立ち、まずはアメリカ市場に向けてローンチしたため、ターゲットユーザーには日本の方だけでなくアメリカのユーザーも含まれます。

開発初期は主に日本の方に協力いただきながらユーザーインタビューを行っていましたが、中盤からは本格的に海外ユーザーへのインタビューも実施していました。ご時世的な事情もあり、実際に現地に行って対面でインタビューを行うことは難しいため、基本的にオンラインでのインタビューを行いました。

ここでは、基本的な考え方や設計はユーザーインタビューについて解説した素晴らしい先人様の記事がたくさんあるため割愛し、AR体験の仮説検証をグローバル&オンラインで行う時に気をつけたポイントをご紹介します。

1.カメラは絶対にオンにしてもらう

ユーザーインタビューでは、情報源はユーザーさんの発言だけではありません。表情や雰囲気、声色のトーンなどの定性情報も非常に重要です。
オンラインでインタビューをする際は、どうしても定性情報が減少してしまうため、カメラをオンにしてもらい、少しでも定性情報を多く収集できるように気をつけていました。

2.遊んでいる姿がカメラに映るようにしてもらい、遊んでいるところを観察できるようにする

Leap Triggerは実際に体を動かして遊ぶゲームのため、プレイ画面の情報だけではユーザーさんがどのような動きをしているかわかりません。
そのため、カメラをオンにしてもらうだけでなく、遊ぶときはカメラに映るようにお願いしていました。バトルが白熱すると、動きすぎてカメラから外れてしまう時もたまにあったのはご愛嬌です。笑
また、その様子を録画しておくことで、遊び方の分析にも役立ちました。

3.質問する際、回答を少しでも理解しきれていない部分があったら、遠慮なく聞き直す

最後のポイントはAR体験ではなく、言語の壁によるものです。
Leap Triggerのメインユーザー層は若者であるため、同年代のビジネスマンではありません。ビジネスマンであれば、言語差にも配慮して聞き取りやすい英語を話してくれるケースもありますが、Leap Triggerのインタビューではそういったことは一切起こりませんでした。
なので、少しでも理解しきれない部分があったら、必ず聞き返す / 理解を確認しながら進めていました。それでも尚、言語の壁によって得られる情報量が減少していたなと思います。

体験の改善例

最後に、スプリントの仕組みを通して、実際にどんな機能が作られ改善されてきたのか、事例を交えてご紹介します。

Leap Triggerの開発初期は、弊社の過去タイトルであるHolo Breakをオンライン対応した状態で検証を進めていました。

↓当時の様子

この状態で何度かユーザーインタビューを実施したのですが、そこで得られた結論は
「あまり面白くない・・・」
というものでした。

そこで、対面で遊んだ時は面白かった体験が、オンラインに移行したときに面白く無くなってしまうのはなぜかを、インタビューの結果や動画などを見返しながら洗い出していきました。
そこで分かったことは

  1. 部屋が狭くて思うように動けていない

  2. 相手の居場所が分からないため、画面に弾が溢れたときに何が起きているか分からなくなっている

ということでした。

特に、「部屋が狭くて思うように動けていない」といった部分については、ユーザーさん自身からフィードバックされた訳ではなく、カメラの録画を見返したときに、起きていることに気づいたポイントでした。

上記の課題をもとに、複数回のスプリントを通して改善された結果がこちらです。

フィールドを大きく動き回って、できるだけ体を動かしながら遊ぶ
→部屋中を動き回るのではなく、相手の攻撃をしっかり見て避ける楽しさを作る

画面を連打して、できるだけ相手に向かって弾を打つ
→画面を連打して攻撃するのではなく、じっくりと相手を狙って攻撃する楽しさを作る
などの点が大きく変わっています。

最後に

今回は、Leap Triggerの開発時に行った仮説検証のポイントと、実際にどのような改善を行ったのかについてご紹介しました。

Graffityでは、このような仮説検証力と仮説検証スピードを活かし「最短3か月で“心を動かす”ARエンタメ」をコンセプトに、AR技術に特化したエンタメの企画・開発と、DX化を支援するスタジオ「Graffity AR Studio」を運営しております。

これまで累計23万ダウンロードを突破したARシューティングバトル「ペチャバト」や、グローバルに展開しているARシューティングバトル「Leap Trigger」など、ARゲームを開発・運営しており、これらの知見を活かし、スピード感を持ってARを活用した“心動かす”エンタメの企画から運用までを、ワンストップでサポートいたします。

スピード感を持って仮説検証を通してAR体験をブラッシュアップしたい企業様はぜひ「Graffity AR Studio」へお問い合わせください。


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