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ミルボンDAどうやって取り組んだか話します

ミルボンDAインスパイア
アジア、日本各エリアから1位(都市部は3名)になった人だけがファイナルに進める。


僕は奇跡的にそのファイナリストに選んでいただけた。

といっても無欲の勝利だった訳では全くなく、めちゃくちゃ勝負に出ていた。

先の記事にも書いた通りやるからには勝たないといけないと思ってたから、どうやったら勝てるかをひたすら考えた。
ただ勝ちに媚びたりするのも性に合わないので、自分らしさを崩さないことは大前提で。

DAは今回で2回目だったんですけど、前回の時にちょっと見えまして。

今回はそれを意識してやってみてそれがうまくいったなっていう感じだったし、
他の方の作品を見た時に殆どが陥りがちなところにハマっててそこが差だったのかなと。
なので今回は自分なりに見えた「DAのススメ」みたいなのを、モデルのチョイスからヘアの狙い、撮影方法、ヘアの作り方などなどお話していこうと思います。

勿論これは正解でもなんでもなくあくまで個人の考えなので、コンテストの取り組み方の一つの例として参考にする程度に見てもらえると良いかなと。

ちなみにDAは入賞すれば10万、グランプリになれば30万貰えるので、賞入れば諸経費をペイできるのも魅力だったり。

それではDAの取り組み、説明していきます。


まずDAの趣旨から
フォトと実際に切るモデルが必要なコンテストで、
フォトがサロンスタイルのAパネル、クリエイティブスタイルのBパネル、そして実際に切るモデルのCがあって、
AとBを融合させたものをCで表現するというルール。
そしてそのCは、ミルボンの掲げるリアルとクリエイティブの融合「リアリティブ」の範疇でないといけない。

ていうのが大まかなルール。


で、僕が作った作品がこちら。


A

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B

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C

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解説します。

まずイメージング

ラフ画と文字を起こす。
何となくウィッグやっても絶対降りてこないし時間とウィッグの無駄だから、いつも出来る限り細かくイメージを詰めてからウィッグに取り組みます。

それで出来た最初のイメージがこれ

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この時点ではサイド寄りのアングル。
Pinterestで見たスタイルに影響されてのBだった。

更に詰める

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ここで実際に採用したV字っぽさが出てくる。
でもこの時はカラーはベージュとビビッドピンクだったみたい。

でもBみたいな動きつける系は多分今回やる人多いだろうなって思ったのと、BよりCの方がクリエイティブに見えてしまいそうだったのがあってやり直し。


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で、最終の案
フォトはここでほぼ完成。


そうやってラフ画描きながら浮かんできた全体のテーマは、「カットラインと女性像」。

Aのタイトルは「曲線」
しなやかで繊細だけど、強く芯のある曲線。

Bのタイトルは「直線」

凛として潔いけど、柔らかくて抜けのある直線。

線の持つイメージと対になる要素をその他の箇所に持たせることで、女の子のひと口では言えない複雑さとか繊細さを表現。

Aでいうと、
曲線は女性らしさの象徴だから抜けを作ったりもみあげで柔らかさとか繊細さを加えつつも、しっかりとした芯を感じるようにシルエットをタイトにしたり寒色系のヘビートーンのカラーにしたりしてバランシング。
画角はあえてトップを見切らせて撮って前髪に視線が行きやすく。
ライティングも紗幕をかけたストロボをモデルに向けて、光が少し硬く写るくらいに。

Bは、
直線はしっかりした、カッチリしたイメージだから、ハイトーンと毛量の透け感で繊細さと柔らかさを表現。
クリエイティブ感を出すためにウィッグを被せず、モデルの前に蓑毛を垂らして撮影。
自然光で柔らかく撮るけど、片側から当てて影つけて、クリエイティブに寄せる。


ていう感じで撮影。


でCの組み立て方は、まずフロントのデザインから。

ラウンドとV字の中間ってことでU字バングに。
バングの幅と長さは色々試して目が隠れるとU字感は出るけどモード過ぎて、短過ぎるとU字が伝わらなかったからモデルのフィッティングも兼ねて長さは目の上。
あとはU字感をわかりやすくしたかったから幅はサイドまで。

後ろの構成は、フロントデザインの設定上トップにボリュームが出にくいので、バングのレングスも横幅感じやすいのでウルフにして縦感出してバランシング。

フォトのもみあげのAの内巻きとBの外ハネの伏線回収としてウルフのネープの耳後ろは内巻き、みつえりは外ハネにスタイリング。

今回は3点とも共通してヌーディー、ベージュをサブテーマに決めていたので、カラーはベージュのペールトーンをベースに、ネープ際とサイド、フロントインナーにミドルトーン。
フロントインナーは三角形に取って中央に行くにつれてローライトの割合が増えるようにして、ブラントでも抜け感が出るように。

カラーのレシピはこんな感じ

ベース18Lv(2回ブリーチ)
ブリーチ前処理
Tokio+ジカルボン酸

全体10min
N系8:ピンクブラウン系8:クリア=1(2:1):2
根元10min
N系8:ピンクブラウン系8=2:1

ローライト20min
N系8:シルバー系8=1:1


あとは当日どこを切るかを計画。
モデルさんが元々ショートだったのとメインになるのがフロントデザインだから、当日に全体切ったとしても別にインパクトにはならないだろうってことでリスクヘッジしてバックはほぼ完成させておいてフロントとサイドを当日切ることに。

衣装はリースしたけどヘアの考案と同時進行だったのもあって、僕のチョイスの見通しが悪く本番1週間前に不採用。(fenrirさんには本当に申し訳ないことをしてしまった、、、)

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最初の衣装。衣装自体は凄く素敵だったんだけどモデルとヘアに合ってなかった、、、

当初お願いした時、伝えた雰囲気に合わせて沢山サンプルを用意していただけたからしっかり見通せる人は絶対リースが良いと思う。金額は2〜5万。

結局HYKE × TNFのマウンテンボレロが好きでいつか衣装に使いたかったので、リメイクして似たようなのを作る作戦。

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一つ目。

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個人的にモードにスポーティー要素を落とし込んだスタイルが好きで、今回もその方向性。
カモ柄ってどうなんだと思ったから、別のも作ってみることに。

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決定。

色味が欲しかったから店長がTVA出た時に使った衣装を挟み込み。

衣装はこんな感じ。


メイクは、高校生の頃からお客さんで来てくれてた頃に一緒に仕事出来たらいいねって話してた大阪で美容師になった子にお願いすることに。
なんかこういう思い入れがあると更にモチベーション上がる。


こんな感じで取り組んでいきました。


あとは気をつけたこと。

DA出る人がよく陥りがちなことがあって、これを理解してるかしてないかって凄く結果に影響してくるんじゃないかなとも思ってたり。


「BよりもCの方がクリエイティブになりがち」


これはほんとに多いなと思う。
AとBを融合させたものがCなんだけど、

融合じゃなくて付け足してるスタイルがほとんど。
それでCの要素が多くなってしまって、結果的に一番クリエイティブになってしまってるスタイルが本当に多かった。

だから会場をひと通り見た時に、賞には確実に入るなーと思ったし、なんならいいとこ行くかも?ってのは正直思った。

付け足しじゃなくて、要素を混ぜ合わせて削ぎ落とすっていうことが大切だと思う。


あとはDAで勝ちたい人が、3つのスタイルを作る時に意識した方がいいんだろうなっていうこともあって。


伏線とその回収


フォト2作品は言ってしまえば伏線。

必要な要素を散りばめておいて、それをCでどれだけ綺麗に回収できるかが大事なんだろうなーと思ってて。

ABになかったのに、Cで突然そのカラーチョイス?みたいな、何故それをそうしたのかっていう理由を見る側に納得させられないのはスタイルとしてまとまっててもDAでは弱い。

DAは賞を獲ればめちゃくちゃイケてる盾が贈呈されるんだけど、それには作品が3つ並ぶ。

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こんな感じの盾。

やっぱりここに載せるなら、3つともリンクしてた方が俄然イケてる。
僕は盾になった時を想像したりして作品作ったりもしてたから、それなりに全体にまとまりが出たのかなーとも思ったり。


モデルの色白チョイスはもう古いかも


これは僕が勝手に思ってることなんですけど

コンテストとか撮影のモデルの暗黙の条件

・高身長

・色白

これを基準にしてハントする人ってほとんどなんじゃないかなと。

ただそれってほんとに正解なの?っていうこと。

ヘアスタイルとかファッションの流行りが過ぎていく理由ってなんだと思いますか?



「既視感」



です。

あんまり囚われなくていいんじゃないかなと思います。

僕は地黒のモデルさんを2回出場で2年連続で選んでますけど2回とも賞とってます。

去年のモデルさんに関しては身長も高くないし。

そこを選ぶ理由は簡単


周りと差をつけられるから。


みんな色白で背が高いから。

この辺は、多様化ってところを表現したくて敢えて地黒のモデルさんを選んでて。

コレクション界も、リックオウエンスがファットなモデルを起用したりとか最近問題にはなったけどコムデギャルソンのショーで白人に黒人のするドレッドのウィッグを被せたり、ダイバーシティーの最中。

そこに今は新鮮さがあるんじゃないかな〜とか思ってトライしてみたり。

冒険だけど無謀だとは一ミリも思ってなくて。

モデルさんの雰囲気も理想だったし、こうやってコレクション見たりして自分なりにハッキリと理由を見つけてるから。


全てにおいて言えることかもだけど

何故そうなのかっていうことを埋めていくと、だんだんそれっぽくなって隙がなくなってくる。

その目と感覚を研ぎ澄ますのが大切なんだろうなーと思ってまだまだな自分は地道にやってます。


色々細かく解説しましたが。

こんな感じで、DAは特殊だけどめちゃくちゃやりごたえのあるコンテストだし、出る美容師さんはやっぱり押さえるとこ押さえてるなっていうレベルで勉強になるし、賞金も出るし。

コンテスト始めるなら是非ともオススメかなと思います。


これを読んでくださった方の賞に入る糧になれば幸いです、、、!!!お互い頑張りましょうー!



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