[解説]高還元SES企業の巧妙な手口・手法と見極め方
高還元SES企業は魅力的な条件を提示する一方で、その裏には巧妙な手口・手法が潜んでいます。本記事では、高還元SES企業の手口と優良企業の見極め方について詳しく解説します。
高還元SESの基本概念
実際の高還元SES企業はどんなもの?
高還元SESとは、エンジニアに高い報酬を還元することを特徴とするシステムエンジニアリング(SES)企業のことです。従来のSES企業では、エンジニアの給与が低く、企業が利益(マージン)を大きく取るケースが多く見られました。しかし、近年ではエンジニア不足が深刻化し、優秀なエンジニアを獲得するために、高還元をうたうSES企業が増加しています。 高還元SES企業は、エンジニアに高い報酬を還元することで、優秀な人材を獲得し、顧客企業に質の高いサービスを提供することを目指しています。SES企業(システムエンジニアリングサービス)のビジネスモデルは多くのエンジニアを採用して、案件に常駐することで売上と利益が増えます。つまり、高還元(給与が上がる)という内容で転職活動をしているエンジニアの興味を惹き採用をする手法です。(そりゃ、給料が高くなりそうな期待を寄せますよね)また、案件選択制により、エンジニアのモチベーション・スキルアップ向上や、長期的な安定雇用を実現することで、企業全体の成長に貢献することも期待されています。 しかし、高還元をうたうすべてのSES企業が優良企業とは限りません。中には、高還元を謳いながら、実際にはあれこれ条件を付けてエンジニアに低い報酬しか支払わなかったり、労働条件が悪化したりする一部の高還元SES企業も存在します。そのため、高還元SES企業を選ぶ際には、企業の評判や実績、労働条件などをしっかりと調べる必要があります。
高還元SESというビジネスモデル
ここ数年で流行りのビジネスモデル(トレンド)となっている高還元SESですが、後続する企業が増え過ぎたため、エンジニア採用のための過剰な還元率・PR合戦が始まり、過度な還元率(%)合戦が激化してしまっている状態です。
その結果、正規のホワイト還元率の高さではなく、“見せかけだけの還元率の高さ(もはや詐欺に近い…)” で、エンジニアを採用しようとする高還元SES企業も多く存在しており、還元率という数字の見せ方を変えているだけで、実際の手取り額(給与)と求人内容が乖離している例が多発してしまっています。弊社のエンジニアも前職ではこれを理由に被害を受けてありました。
これらの手口・手法は、ITエンジニアの採用活動を第一としたもので、あたかも還元率(給与)を高く見せかけ、とにかくITエンジニアを釣って、面接・面談を確保し、情報に弱いエンジニアを囲い込むという魂胆です。
高還元SESの魅力的な条件とその裏側
高還元SES企業は、エンジニアにとって魅力的な還元率・条件を提示することが多いです。例えば、高額な報酬、案件選択制度、充実した福利厚生、スキルアップ支援などがあります。しかし、これらの魅力的な条件の裏には、企業側の思惑が隠されている場合もあります。 例えば、高額な報酬を提示することで、エンジニアを競争的に採用し、人材不足を解消しようとする企業があります。また、充実した福利厚生やスキルアップ支援を提供することで、エンジニアの定着率を高め、人材流出を防ごうとする企業もあります。 高還元SES企業は、エンジニアにとって魅力的な条件を提示することで、優秀な人材を獲得し、顧客企業に質の高いサービスを提供することを目指しています。しかし、企業側の思惑が隠されている場合もあるため、エンジニアは転職サイト・媒体などでのこれらの条件を鵜呑みにせず、しっかりと企業の評判や実績などを調べる必要があります。
悪徳高還元SES企業の手口・手法
経費を還元額に含める例
悪徳高還元SES企業の中には、経費を還元額に含めることで、見かけ上の還元率(給与)を高く見せる手口・手法を用いる企業があります。例えば、会社負担の社会保険料(本来、会社が会社の負担で国に収めなければならない社会保険料)やエンジニアの交通費や通信費、研修費用などを還元額に含めることで、還元率を高く見せておき、実際の給与支払い時にはそれらを天引きして支払われます。そのためエンジニアの給与・報酬は低くなります。 エンジニアは、還元率の数字だけを見て、高額な報酬を受け取れると勘違いしてしまう可能性があるため注意して下さい。そのため、契約書をよく読み、経費がどのように計算されているのかを確認することが重要です。カジュアル面談や面接時で必ず確認して下さい!
案件待機の給与差し引き手法
悪徳高還元SES企業の中には、案件待機中の給与分を後から差し引く手法を用いる企業があります。例えば、エンジニアが案件に就くまでの期間、待機期間として給与を支払いますが、その後、案件が決まった際に、待機期間中の給与分を差し引くことで、実際にはエンジニアに支払われる報酬は低くなります。 (まぁ、これは双方の言い分が有るのでどちらも理解出来ます。)エンジニアは、案件待機期間中の給与が保証されていると勘違いしてしまう可能性があります。そのため、契約書をよく読み、待機期間中の給与に関する規定を確認することが重要です。エンジニアとしてしっかりとご自身の案件業務を遂行していれば、この待機問題は過度に心配する必要は無いかもしれません。
高すぎる想定年収の提示
悪徳高還元SES企業の中には、高すぎる想定年収を提示することで、エンジニアを引き寄せる手法を用いる企業があります。例えば、エンジニアのスキルや経験を過大評価し、高額な想定年収を提示することで、エンジニアを惹きつけます。しかし、実際には、想定年収に達することは難しく、エンジニアは期待はずれの報酬しか受け取れない可能性があります。 (これまでの経験やスキルシートで単価が決まるため夢のような年収アップはごく稀です。)エンジニアは、想定年収の根拠や達成可能性について、しっかりと確認することが重要です。また、過去のエンジニアの年収データなどを参考に、企業の提示する想定年収が妥当かどうかを判断する必要があります。面談・面接時にエンジニアご自身のスキルに合った市場感を教えてもらいましょう!
優良SES企業の見極め方
適格機関投資家の資本投入があるか確認
優良SES企業は、適格機関投資家から資本投入を受けている場合が多いです。適格機関投資家は、企業の経営状況や将来性を厳しく審査した上で、投資を行うため、適格機関投資家の資本投入を受けている企業は、信頼性が高いと言えるでしょう。 適格機関投資家からの資本投入は、企業の安定性や成長性を示す指標の一つです。そのため、SES企業を選ぶ際には、適格機関投資家からの資本投入があるかどうかを確認することが重要です。(まぁ、このケースは多くはありません)
SES以外の事業展開状況を調べる
優良SES企業は、SES以外にも事業を展開している場合が多いです。例えば、システム開発、コンサルティング、教育など、幅広い事業を展開することで、安定的な収益を確保し、エンジニアに安定した雇用を提供することができます。 SES以外の事業展開状況は、企業の経営状況や将来性を示す指標の一つです。そのため、SES企業を選ぶ際には、SES以外の事業展開状況を調べることも重要です。日頃流れてくる案件情報では年齢制限があります(例えば60歳以上NGとか‥)ということは、高齢になったらSESでは働けなくなる可能性が高いという事です。SESだけをしている企業ではこの問題が発生しています。
営業力のある企業か見極める
優良SES企業は、営業力のある企業です。営業力は、顧客企業との関係構築や案件獲得に不可欠です。営業力のある企業は、エンジニアに安定した案件を提供することができます。 営業力は、企業の顧客満足度や業績に大きく影響します。そのため、SES企業を選ぶ際には、営業力のある企業かどうかを見極めることが重要です。SESは多重請負構造です。面接・面談時には平均商流階層(何次請けが多いか?)確認しましょう!エンドユーザーに近い(商流が浅い)案件ほど単価が良いです。どんなに高還元でも商流が深いとそもそもの案件単価が安いため、給与は安くなります(そりゃそうですよね…)
最低保証の内定通知を確認
優良SES企業は、最低保証をつけて内定通知を出す場合があります。最低保証とは、エンジニアが案件に就けなかった場合でも、一定期間、給与を保証する制度です。最低保証がある企業は、エンジニアの安定雇用を重視していると言えるでしょう。 最低保証は、エンジニアにとって安心できる制度です。そのため、SES企業を選ぶ際には、最低保証があるかどうかを確認することが重要です。驚きなのが、待機中は給与が出ない企業もあるようです…
新ブラックSES企業の特徴
還元率の水増し
近年、高還元をうたうSES企業が増加していますが、中には、還元率を水増ししている企業も存在します。例えば、先述した経費を還元額に含めるなど、様々な手法で還元率を水増ししている企業があります。 エンジニアは、還元率の数字だけを見て、高額な報酬を受け取れると勘違いしてしまう可能性があります。そのため、契約書をよく読み、面接・面談時には還元率の計算方法を確認することが重要です。また、過去のエンジニアの年収データなどを参考に、企業の提示する還元率が妥当かどうかを判断する必要があります。
そもそも還元率を水増しする(会社負担の社会保険料を給与から差し引く)ような会社はやめといた方が良いと思いますよ…
契約書の非公開
契約書を非公開にする企業は、労働条件を隠蔽している可能性があります。契約書(特に労働条件通知書や給与計算方式)には、労働時間、報酬、休暇、解雇など、労働条件に関する重要な情報が記載されています。契約書を非公開にする企業は、これらの情報を隠蔽することで、エンジニアに不利な条件を強いる可能性があります。 エンジニアは、契約書(特に労働条件通知書や給与計算方式)の内容をよく確認し、納得のいく内容であれば、署名・捺印をする必要があります。また、契約書(特に労働条件通知書や給与計算方式)の内容に疑問点がある場合は、弁護士などに相談することをおすすめします。
準委任契約と利益率
準委任契約は、エンジニアが企業に雇用されるのではなく、企業と委任契約を結ぶことで、業務を請け負う契約形態です。準委任契約の場合、企業はエンジニアに対して、労働時間や報酬などの労働条件を自由に設定することができます。 準委任契約の割合に比べて利益率が高すぎる企業は、エンジニアに対して、低い報酬しか支払っていない可能性があります。そのため、SES企業を選ぶ際には、準委任契約の割合と利益率を確認することが重要です。こちらは口コミサイトなどで事前に確認しておきましょう!
まとめ
高還元SES企業に関する結論と今後の対策
高還元SES企業は、エンジニアにとって魅力的な条件を提示することが多いですが、中には、悪徳高還元SES企業も存在します。高還元SES企業を選ぶ際には、企業の評判や実績、労働条件などをしっかりと調べる必要があります。 また、高還元をうたうすべてのSES企業が優良企業とは限りません。中には、高還元を謳いながら、実際にはエンジニアに低い報酬しか支払わなかったり、労働条件が悪化したりする企業も存在します。そのため、高還元SES企業を選ぶ際には、企業の評判や実績、労働条件などをしっかりと調べる必要があります。 高還元SES企業を選ぶ際には、以下の点に注意することが重要です。
・適格機関投資家の資本投入があるか確認する
・SES以外の事業展開もしているか?
・営業力(商流浅い案件を保有)のある企業か?
・最低保証の内定通知を確認する
・還元率の水増しがないか確認する
・契約書(給与規定)の内容をよく確認する
・準委任契約の割合と利益率を確認する
高還元SES企業は、エンジニアにとって魅力的な選択肢の一つですが、リスクを理解した上で、慎重に企業を選ぶことが重要です。本記事をご覧頂いた方が優良高還元SES会社に出会えることを願っております。
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転職活動は自分自身を知り、成長する貴重な機会でもあり、夢や成長を追求するためには必要な要素の一つになるかと思います。
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