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【院試解答】東大院 情報理工 数学 2017年度 第1問【3元連立漸化式】

割引あり

東京大学大学院 情報理工学系研究科の入試過去問の解答例です.この記事では2017(平成29)年度の数学(一般教育科目)第1問について解答・解説します.

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※この解答例は大学院・研究科に認められたものではありません.正確性についての保証は致しかねます.


(1)

解答

$$
\begin{pmatrix}x_{n+1}\\ y_{n+1}\\ z_{n+1}\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}1-2\alpha & \alpha & \alpha\\\alpha & 1-\alpha & 0\\\alpha & 0 & 1-\alpha\end{pmatrix}\begin{pmatrix}x_n\\ y_n\\ z_n\end{pmatrix}
$$

であるから

$$
\begin{aligned}
x_{n+1}+y_{n+1}+z_{n+1}
&=(1,1,1)\begin{pmatrix}x_{n+1}\\ y_{n+1}\\ z_{n+1}\end{pmatrix}\\
&=(1,1,1)\begin{pmatrix}1-2\alpha & \alpha & \alpha\\\alpha & 1-\alpha & 0\\\alpha & 0 & 1-\alpha\end{pmatrix}\begin{pmatrix}x_n\\ y_n\\ z_n\end{pmatrix}\\
&=((1-2\alpha)+\alpha+\alpha,\alpha+(1-\alpha),\alpha+(1-\alpha))\begin{pmatrix}x_n\\ y_n\\ z_n\end{pmatrix}\\
&=(1,1,1)\begin{pmatrix}x_n\\ y_n\\ z_n\end{pmatrix}\\
&=x_n+y_n+z_n
\end{aligned}
$$

となる.よって,$${x_n+y_n+z_n}$$は$${n}$$によらず一定である.ゆえに

$$
x_n+y_n+z_n=x_0+y_0+z_0\tag{答}
$$

である.

解説

$${x_n+y_n+z_n}$$はベクトル$${(x_n,y_n,z_n)^T}$$と$${(1,1,1)^T}$$の内積として表すことができます.

$${(1,1,1)A}$$は行列$${A}$$の各列の和を表す行ベクトルとなります.行列$${A}$$の各列の和は全て1なので

$$
(1,1,1)A=(1,1,1)
$$

となります.

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