見出し画像

【院試解答】東大院 情報理工 数学 2018年度 第1問【ムーア・ペンローズ逆行列】

割引あり

東京大学大学院 情報理工学系研究科の入試過去問の解答例です.この記事では2018(平成30)年度の数学(一般教育科目)第1問について解答・解説します.問題は研究科のWebサイトから見ることができます.

問題PDF

※この解答例は大学院・研究科に認められたものではありません.正確性についての保証は致しかねます.


(1)

解答

(i)

行列$${\bm{A}}$$を簡約階段化すると

$$
\begin{pmatrix}1 & 0 &-1\\0 & 1 & 1\\0 & 0 & 0\end{pmatrix}
$$

となる.すべて0の行は1つのみであるから$${\mathrm{rank}\bm{A}=2}$$である.ゆえに$${\bm{a}_1,\bm{a}_2,\bm{a}_3}$$のうち線形独立なベクトルの最大個数は2である.

(ii)

$$
\bm{a}_4=x_1\bm{a}_1+x_2\bm{a}_2+\bm{a}_3
$$

と仮定すると

$$
\begin{pmatrix}2\\4\\2\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}x_1-1\\x_1+x_2\\x_2+1\end{pmatrix}
$$

$$
\therefore x_1=3,x_2=1
$$

となる.よって$${\bm{a}_4}$$は

$$
\bm{a}_4=3\bm{a}_1+\bm{a}_2+\bm{a}_3
$$

として$${\bm{a}_1,\bm{a}_2,\bm{a}_3}$$の線形和で表される.∎

(iii)

(ii)より$${\bm{a}_4}$$は$${\bm{a}_1,\bm{a}_2,\bm{a}_3}$$の線形和で表されるから「$${\bm{a}_1,\bm{a}_2,\bm{a}_3,\bm{a}_4}$$のうち線形独立なベクトルの最大個数」は(i)で求めた「$${\bm{a}_1,\bm{a}_2,\bm{a}_3}$$のうち線形独立なベクトルの最大個数」に等しく2である.

解説

線形独立についての理解が問われる基本問題です.
(iii)は(i)と同様に拡大係数行列$${\overline{\bm{A}}}$$を簡約階段化して求めることもできます.

ここから先は

6,913字

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?