(4/4) 「 #KuToo (クートゥー): 靴から考える本気のフェミニズム」への批判点の整理

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批判点3.「研究」に対する批判

 著作権法上、「引用」が認められるのは「報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内」(第三十二条)である。
 引用の目的について、石川氏は取材で下記のように語っている。(以下に引用)

――新刊では、100ページにも渡って実際に石川さんが受けたクソリプを紹介していて、さらに石川さんがそのひとつひとつを分析したうえで解説やコメントを入れているのがとても面白かったです。アカウントごと引用している点が画期的だなと思いました。
石川:クソリプはスクリーンショットに撮って保存しているんですが、本に載せるにあたっては約50種類のクソリプを厳選しました。推敲の時点では、倍の100種類近くはありましたね(笑)。
 公表された著作物は、引用して利用することができるという著作権法第32条を担当編集さんに教えてもらいました。今回の書籍はクソリプを飛ばす人たちのメンタリティを研究するという正当な範囲内で引用しています。最初は相手のアカウント名まで載せるのはどうなんだろうって話にもなったんですけど、引用のルールに則ると出典を明示することが必須なのでアカウント名を入れました。書籍からの引用も、著者を明記しますよね。私としては「責任を持って書き込みしないとこうやって使われることもあるぞ」と示したい気持ちもあって、最終的にはアカウント名も載せました。URLも載せていて、きちんと法に則って引用しているので、もし変に絡まれたとしても問題はありません。

 しかし、そもそも研究と認められなければ、引用も認められないであろう。

注:研究と認められるかどうかは、裁判にならなければ分からないため、現時点で「研究ではない」と言い切れないことは事実である。

3.(1) 自己剽窃にあたるのでは?

 自己剽窃については一般社団法人情報処理学会のWebページに下記のような定義がある。

Q10: 自己剽窃とは何ですか? 自己剽窃を避けるにはどうすればよいですか?
A10: 自分が過去に書いた原稿の一部を、自身の投稿原稿中で引用せずにそのまま流用することを自己剽窃と呼びます。これは、文章だけではありません。例えば、論文Aにおいて作成した「評価用データX」があるとします。この時、別の論文Bで「評価用データX」を利用する場合、論文Bにおいて、当該データXについて作成方法を含め説明することがあります。このような場合、論文Bにおいて、あたかも「評価用データX」を新たに作成したように説明することは避けなければなりません。このような場合には、論文Aを引用した上で、論文Bの中で「評価用データX」を説明しましょう。

批判:
2.(3)で挙げたように、石川氏の反論部分は実際にツイートされたものと異なるものがある。
しかし、実際にツイートされているものもある。
これは自己剽窃にあたるのではないか。研究倫理に反するのではないか。

3.(2) 研究ではないのでは?

批判①:
2.(4)にていくつか引用したが、石川氏の研究と称する文章は罵倒であり、研究とは言い難いのではないか。

批判②:
「クソリプを飛ばす人のメンタリティを研究する」とあるが、「リプライ=@を飛ばしてくる人」「 #KuToo のタグをつけて批判を行う人」「石川氏のフルネームを入れて批判を行う人」「それ以外の人」のメンタリティはそれぞれまったく異なることが容易に想像できるため、それらを区分けすらしていない本書は研究とは言い難いのではないか。

批判点4.本書「Tweets」部分のデザインへの批判

 本書にて、ツイートを引用されているページは下記のようなデザインとなっている。(下記はP.70、以下略ちゃん氏のWebサイトより引用。なお、下記にて批判点を挙げるが、何が問題となっているのかは上記Webサイトを閲覧いただいたほうが分かりやすい)

画像1

 ページ下部に「リプライ」「リツイート」「いいね」などのボタンがあり、Twitterのデザインを模しているといえるだろう。
 石川氏の見解は下記。

批判:
Twitterのデザインを取り入れて誤認を招いておきながら、都合の悪いところは「そういうデザインなだけ」と言い逃れるのは、不誠実な行いではないか。

注:法的に問題があるかどうかは、裁判にならなければ分からないため、現時点で「法的に問題がある」と言えないことは事実である。

4.(1) Twitterのスレッドのようにデザインされているが、スレッドではない

 「スレッド」については以下略ちゃん氏のWebサイトをご参考いただきたい。

画像2

批判:
スレッドであることを示す線があるが、引用されたツイートは石川氏へのリプライではないし、石川氏のツイートもリプライではない(引用RT)ため、実際はこのような線はできない。

実際のツイート(Twitterに飛んで見ていただきたい)

4.(2) 「Tweets」と表記があるが、石川氏の文章はツイートされたものとは異なる

 石川氏の反論と実際のツイートについては批判点2.(3)をご参照いただきたい。

画像3

批判:
ごく普通に読めば、「Tweets」は「ツイートの複数形」であり、その下位にある石川氏の反論部分もツイートだと認識される。にもかかわらず、石川氏の反論部分は実際のツイートとは異なっている。