はじめての電話
日曜 夜の11時半。
「どういうつもりなんですか、タナカさんは」
電話のむこうの彼の声が熱っぽかった。
出会った時から褒めちぎって「好きだ」を連発している彼が、恋愛に本気だと思えなかった。彼の言う「好き」は、わたしには「あなたとしたいです」っていう意味が大半を占めながら、わたしに届いてた。
それをそのまま素直に伝えたら、彼は傷ついたようで「電話していいですか?」とLINEがきた。
「俺なりに、本気で好きです。タナカさんと結婚見据えた恋愛がしたいんです。タナカさんはどういうつもりなんですか」
どういうつもりも何も、わたしも本気の恋愛がしたい。でも、あなたと本気の恋愛ができるかわからない。
「好きか嫌いかと言ったら、好きだよ」
なんでこんな言葉が出たんだろう。嫌われたくなかったのか、それともただ、ごまかしたかったのか。
しんと静まり返った部屋に、いやに響いた。ゆっくりとその言葉を飲み込むように彼が「よかった」と言った。嬉しそうだった。
わたしたちは、よくすれ違う。彼がわたしを傷つけまいとした行動でわたしが不安になって、何日か我慢して不満をぶつける。その繰り返し。
「地雷を教えてください。
それか、俺がしたことが、その場で嫌だと思ったらすぐ言ってください」と。
「嫌われたり、重いって思われるの怖くて言えないんだ」と言いながら、ああやっぱりこの人を好きになってるんだなぁと思った。
深夜12時をすぎたころ、水を得た魚のように彼は話し出した。主に下ネタを。
両思いってことは下ネタ言ってもいいよね?!って思ってるみたいだった。いかに好きな人と幸せなエッチをするか、そのためにどうしたらいいか熱弁する彼に、好きって言うんじゃなかった、と洗いたての髪を撫でながらわたしは苦笑した。
「ちょ、ちょっとそれは聞きたくないな。まだそんな関係じゃないし」と笑ってかわす。
周りの男性や今まで付き合ってきた男性は、下心を上手に隠しながら近づいてきて
体の関係を持ってから下ネタの話をしていたから少し驚いた。
親友の男友達は、好きな子に嫌われるのが怖くて下ネタは一切言わない(わたしには言いまくるけど)
ネトナン師は体の関係前提で会うらしい。
彼のように性欲全開で来られるとネトナン師なのか?とも思うし、いやいや実は男はみんなそうなんだよと言われればそうな気もする。
好きな子としかしたくないとはいえ、どう信じたらいいかやっぱりわからない。本当に好きだったら、嫌われないために下ネタ隠したりするんじゃないかな?
わたしが臆病で、相手にきつい態度取らないからいけると思われてるのかな・・・。
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