君はわたしのバロメーター
今日の夜あいてる?と彼が聞くのは、出会ってから初めてだったので
何かあったのかなと思いながら
いつもの待ち合わせ場所に行くと、目と鼻を真っ赤にしてぼんやりとスマホを見つめる若手サラリーマンの彼がいた。
あれ?この人、もっとかっこよくなかったっけ?
それでも会えた嬉しさに頰がゆるむ。
「なんでそんなしょぼしょぼしてるの」とわたしが笑うと困ったように彼も笑って「花粉症なんすよ」と言った。
終始ぐしゅぐしゅの鼻で、彼自身もなんだかひとまわり小さく見えたけど
「あーおしっこしたい」とか相変わらず素直で思ったことが彼は、全部口に出るのでうらやましく思った。(イケメン無罪・・・)
きっと彼は人の顔色なんて読まなくても、愛されて大切にされてきたんだなって思うから。きっとご両親が彼を愛してのびのびと育てたんだろうなと。
わたし自身もその羨ましさを隠すことなく彼に話したら
「なんか嬉しいな」と笑ってた。
わたしにとっては周りの顔色が、わたし自身の価値を示すバロメーター。特に仕事の上司や大事だと思う人の顔色が気になって辛い。
そこから自由になりたいけど、いまだになかなか抜けないから
人の顔色に振り回されずに自分の気持ちに素直に生きている彼みたいになりたい
そう思う夜だった。
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