落語を始めて5年が経った

表題の通り、今年の4月で落語を始めて丁度5年になる。始めてと言ってもあくまで趣味の範疇での話であり、特別正式なアニバーサリーと言う訳でも無い。

当時の僕は一人暮らし、バイトで生計を立てる所謂フリーターと言う身分だった。フリーター生活を1年くらい続けたある日、突如として将来に漠然とした不安を感じ始めた。同級生達は大学を卒業し、就職してそれぞれの道を歩み始めている。僕はフリーター、そして特別将来の目標とか目指すものも特に無かった。

一体これから僕はどうなるのだろう…。これまでのらりくらりと生きてきた埋め合わせが来たように思え、バイトのデリバリー中に原付を走らせて泣いていた。

そんな折りに出会ったのが落語だった。それまでは何となく興味があった位できちんと聴いたことはなかった。今の時代YouTube等で色々聴いてみることが出来る。何となく検索をかけて気になる噺を聴いてみてた。

ある日見つけたのは、立川志の輔師匠の「バールのようなもの」と言う演題の落語だった。それまで「落語=古典」のイメージしか無かった為、「ほ?落語なのにバール?」とカタカナ語の入ったその噺を聴いてみた。引っくり返って笑ったのと同時に人生感が変わる程の衝撃を受けた。世の中にこんなに面白いものがあったなんて!

それからは家に居る時間は夢中で落語を聴いていた。何度も聴くうちに噺を覚えて、友達の前で披露したら「え?めっちゃ上手いじゃん」と言われ、調子に乗りそのまま趣味として落語を語るようにもなった。

お陰で就職後の社員旅行とか催し物の度に、この落語をやることで乗り気ってきた。芸は身を助けるとは良く言ったものである。

所謂、完全に独学でアマチュアでやってきたがありがたいことに様々な所で落語をやることが出来た。老人ホーム、イベント、大会。最近は昨今の情勢もありツイキャスやYouTube等のネット配信でも落語が出来ている。去年は独演会も出来たし、今年に入ってからは他のアマチュアで落語をやってる方と一緒の会をやることも出来た。本当に恵まれてると思っている。

落語をやる上でのポリシーとかはあまり無いが、とにかく聴いてる人が一人でも笑ってくれれば嬉しい。僕自身がそうであったように、落語には落語にしか無い魅力があり、それで獲られる笑いと心地よい脱力感。自分自身が落語をやることによってそれが少しでも伝わり、聴いてる人が笑ってくれる瞬間がとにかく嬉しい。色々なものに挑戦したけれど、結局落語でウケた時が一番嬉しいのだ。

趣味で落語をやる上で決めてることは「お金は取らない」と「自分のペースでやる」と言うことだ。コロナの影響もあり、なかなか人前で落語をする機会が無く少し寂しいけれど、せっかく巡りあった縁だ。これからも楽しく落語をやっていきたいと思う。そしてこれもまた縁があり、僕の落語を聴く機会があればどうぞ広い心で聴いて貰えると大変に助かる。

落語を聴く側なんて笑ってるか寝てるかしてれば良いのだから、どっちでも自由だが笑ってる方が得だろうと個人的には思う。世の中、ちょっとでも笑いが多いに越したことは無いのだ。

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