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システム的視点を再考する

 ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークの「核となる価値観と概念」は11個の価値観で構成され、その筆頭にあるのが「システム的視点(Systems Perspective)」です。

システム的視点(Systems Perspective)
システム的視点とは、組織のすべての部分を統一された全体として管理して、ミッション、継続的な成功、および卓越したパフォーマンスを実現することです。
Baldrige Core Values and Concepts より。翻訳筆者)

 最近「経営の思考法」(「経営革新の実践を促す 経営の思考法」岡本正耿著、2019年、経営品質協会刊)を読み返していて、「全体を一つとして考えるだけではなく、要素間のつながりが大事だ」というような記述があって、改めてボルドリッジの「システム的視点」ではどうだったか、見直してみました。

 Baldrige Excellence Framework 2021-2022にある、上述の記述に続く部分は次のように記載されています。

組織のパフォーマンスを全体的にうまく管理するには、相互に依存する運用を行うシステムとして組織を実現する必要があります。組織の明確な総合(specific synthesis)、一貫性(alignment)、統合(integration)により、内部システムがうまく動きます。総合とは、組織を全体として理解することを意味します。総合には、コアコンピタンス、戦略目標、実行計画、業務システム、働き手のニーズなど、ビジネスの主要な属性が組み込まれています。一貫性は、主要な組織的な連携を用いて、計画、プロセス、評価尺度、活動の整合を確実なものとすることを意味します。統合は一貫性の上に構築され、これによって、パフォーマンス管理システムの個々の構成要素が、十分に相互に関連付けされ、統一され、相互に有益な方法で動作し、期待された結果を提供するようにします。
(Baldrige Excellence Framework 2021-202, p38より引用。翻訳筆者)

 「組織のすべての部分を統一された全体として管理して」という記述だけでは明確にわかりませんでしたが、実際には、「一貫性」と「統合」によって、関連付けが確保されていました。

 組織がシステム的視点をとるとき、経営幹部は戦略的な方向性と顧客に焦点を合わせます。経営幹部は、結果に基づきパフォーマンスについてモニターし、対応し、管理します。
 システム的視点によって、評価尺度、指標、コアコンピタンス、および組織の知識を使用して、主要な戦略を構築し、これらの戦略を業務システムおよび主要プロセスに連結し、リスクを管理し、経営資源を整合させて、全体的なパフォーマンスを改善し、顧客と利害関係者に焦点を合わせることを強化します。

 ボルドリッジでは、核となる価値観と概念、審査基準の7つのカテゴリー、および評点ガイドラインが、システムの構成要素であり統合の仕掛けとなっています。

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 ボリドリッジ・エクセレンス・フレームワークの要約版、「ボルドリッジ・エクセレンス・ビルダー【日本語版】」は、米国NISTのウェブサイトからダウンロードできます。こちらは無償です。


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