イノベーションの定義
「内部統制評価基準 勝ち抜く会社の800のポイント」を活用した内部統制の仕組みづくりでは、内部統制に関わる組織経営のプロセスを8つの側面(カテゴリ)に分けて、質問を通じて具体的に仕組みに落とし込んでいきます。
カテゴリー7.環境変化に合わせたイノベーションの実現について見ています。
組織内外で検討を進める際に、言葉の定義を揃えることは重要です。
カテゴリー7で扱うイノベーションとは何かを改めて確認します。
7.(2)イノベーションの定義
技術、プロダクト、プロセス、ビジネスモデル等のイノベーションとは何かを適切に理解していますか。
イノベーションという言葉は、シュンペーターの「経済発展の理論」(1912年刊)で初めて定義されましたが、それから100年余が経っています。当時から大きく変わったことは多数あり、特に重大なものとして、グローバル化の進展、ITの進展とインターネットの定着、顧客の変化、環境変化のスピードアップなどが挙げられます。これらを踏まえて、ここではイノベーションを次のように定義します。
イノベーションとは
社会実態や環境の変化を洞察し、多様な分野とICTを融合させ、新しい概念や技術・プロセスを生みだし、市場・事業・サービス・組織等を創出することにより、社会や顧客に新しい価値を提供すること
新しい市場や既存の市場で新しいビジネスチャンスを獲得するためには、イノベーションに取り組むことが必要です。
市場の圧倒的な変化や、技術の予測不可能な変化、政府の政策の劇的な変化(環境変化)が常態となった時代には、未来を予測しそれに対応するのではなく、未来を自ら創り出す、すなわち、イノベーションに取り組むことが求められます。
イノベーションの定義にも示されている通り、イノベーションは、新製品やサービス(プロダクト)ばかりでなく、業務の進め方(プロセス)、あるいは、事業そのもの(ビジネスモデル)の変革も含みます。
こうした観点から、イノベーションを次の3つに分けています。
プロダクト(サービス)・イノベーション
新製品・サービスの開発によって差別化を実現し競争優位を達成するイノベーション
プロセス・イノベーション
製造方法や工程の改良によって費用を削減し競争優位を達成するイノベーション
ビジネスモデル・イノベーション
組織のビジネスの最も中核をなす部分を革新し、新たなビジネスの仕組みを構築するイノベーション
また、これらは複合的に実現されることも多くありことも理解が必要です。
過去の枠組み、既存の枠組みで不十分なところを直す「改善」ではなく、問題を放置したり、問題を生み出した組織の規範や風土そのものを変えようとする「イノベーション」を進めるためには、経営者のリーダーシップが必要とわかります。
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内部統制評価基準改訂版「内部統制評価基準 勝ち抜く会社の800のポイント」については、NPO法人内部統制評価機構のウェブサイトをご覧ください。
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