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利害関係者との知の交流

 「内部統制評価基準 勝ち抜く会社の800のポイント」は特に「業務の有効性と効率性」を基軸にした「内部統制」の有効性を診断する評価基準です。この評価基準を活用した内部統制の仕組みづくりでは、内部統制に関わる組織経営のプロセスを8つの側面(カテゴリ)に分けて、具体的に仕組みに落とし込んでいく方法をとっています。

 内部統制評価基準の8つのカテゴリーの5つ目は
5.知の経営の実現
です。

 知の経営に必要な、利害関係者との知の交流について確認します。

5.(2)利害関係者との知の交流
 会社は、利害関係者の立場を考慮して、知の交流を図っていますか。

 知の経営では、組織内の知ばかりでなく、顧客の知、パートナーの知、地域社会の知、株主の知などすべての利害関係者と知の交流を図り、経営に活かします。

 組織のリーダーは、すべての利害関係者とのコミュニケーションにおいて中心的な役割を果たします。

経営幹部の役割
価値観や経営方針の設定、組織文化の形成と強化、すべての利害関係者に対する価値の伝達、創造、バランス、そして活動に組織的な焦点を当てることにおいて、経営幹部は中心的な役割を果たします。
ボリドリッジ審査基準の解説1.リーダーシップより。翻訳筆者)

 顧客のニーズ・ウオンツを把握し、共有します。その情報(知)に基づき、顧客が求める価値の創造と顧客満足を高める取組みを行います。
 顧客のニーズ・ウォンツの把握、それに基づく価値は一方的に提供するのでなく共創、ともに創ることが求められるようになりました。そして顧客満足を越えて、顧客エンゲージメントを高めることが重要となっています。

顧客の傾聴
ほとんどの組織は、複数の経路を介して顧客の声を聞きます。よく使われる経路には、主要な顧客とのフォーカスグループ、主要な顧客との緊密な統合、購入や関係性構築の意思決定に関する失われた顧客や見込み顧客への聴き取り調査、ソーシャルメディアに投稿された顧客のコメント、競合他社および類似製品を提供している他の組織との比受注/失注分析、各種調査またはフィードバック情報などが含まれます。
顧客および市場に関する知識
顧客、顧客グループ、市場区分、以前の顧客、および潜在顧客を理解することにより、製品・サービスをそれにあうように調整し、マーケティング戦略をサポートし、適合させ、より顧客に焦点を当てる働き手の文化を醸成し、新しい事業を開拓し、ブランドイメージを進化させ、長期的な組織の成功を確かなものとすることができます。
ボリドリッジ審査基準の解説3.顧客より。翻訳筆者)

 従業員のニーズ・ウオンツを把握し、共有します。その情報(知)に基づき、従業員が求める価値の創造と顧客満足を高める取り組みを行います。

 従業員エンゲージメントを高めることが、顧客エンゲージメントを高めることにつながります。従業員エンゲージメントを高める要因は様々です。従業員それぞれのニーズ・ウォンツを把握することが大切です。

働き手 エンゲージメントの推進力
給与や昇給への満足も重要ですが、一般的に、これらの2つの要因だけでは、働き手のエンゲージメントと高いパフォーマンスを確実にするには十分ではありません。これら以外の要因として考えられる事例としては、効果的な問題解決や不満の解決、能力開発とキャリアアップの機会、職場環境とマネジメントの支援、安全で安心して働ける職場、業務量、効果的なコミュニケーションと協力やチームワーク、権限移譲の程度、雇用保障、多様な働き手グループの異なったニーズの理解、顧客にサービスを提供するための組織的な支援などがあります。
ボリドリッジ審査基準の解説4.働き手より。翻訳筆者)

 同様に、取引先(サプライヤーやパートナー)、株主・債権者のニーズ・ウオンツを把握し、共有します。その情報(知)に基づき取引先(サプライヤーやパートナー)、株主・債権者が求める価値を創造し、顧客満足につながる取組みを行います。

サプライネットワークとのコミュニケーション
サプライヤーとのコミュニケーションの手段には、理解しやすい言葉を使用する必要があります。それらは、直接の接触であったり、電子メール、ソーシャルメディア、あるいは、その他の電子的手段であったり、あるいは電話であったりします。多くの組織では、これらの手段は、市場、顧客、あるいは、利害関係者の要件の変化に応じて変更する可能性があります。
ボリドリッジ審査基準の解説6.オペレーションより。翻訳筆者)

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 内部統制評価基準改訂版「内部統制評価基準 勝ち抜く会社の800のポイント」については、NPO法人内部統制評価機構のウェブサイトをご覧ください。

 ボルドリッジ(ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワーク)は、米国発の「証明された」経営フレームワークです。
 ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークの要約版、「ボルドリッジ・エクセレンス・ビルダー【日本語版】」は、米国NISTのウェブサイトからダウンロードできます。ページ下方の Non-English Versions / Japanese を参照ください。


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