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ベートーヴェンのイノベーション

ベートーヴェンが交響曲に取り入れたイノベーションには、先に紹介した、新しい楽器の採用、楽章の連結(以上、交響曲第五番「運命」)のほかにも、標題音楽(交響曲第六番「田園」)、合唱(交響曲第九版「合唱付き」)などがあります。

すべての交響曲で見られる全体的な統一感(ボルドリッジでいう「システム的視点」)もイノベーションといえるかもしれません。

第五番「運命」では、その一つの要素である、全体にちりばめられたタタタ・ター、タタタ・ター、同じ3つの音と一段低い長い音で構成された「運命のモチーフ」は、それに先立ついくつかの曲、例えば、ピアノソナタ第1番、ピアノソナタ第23番「熱情」などに登場します。

ピアノソナタ第1番では、第一楽章の冒頭、左手が最初に弾く4つの音です。その後も繰り返しで登場します。
ピアノソナタ第23番「熱情」では、第一楽章その11小節目に左手が弾き、その後13小節目、14小節目にも同じ音が出てきます。その後も、重要なフレーズとして度々登場します。
ぜひその他の曲も探してみてください。

ベートーヴェンはこのフレーズを色々な音、楽器で試し(その試行も都度完成度の高いものですが)、ついに、3つのG+E♭の「運命のモチーフ」に到達し、交響曲第五番「運命」を完成しました。

しかし、その完成までには、「運命」の草稿にも修正を多数繰り返した跡が見られます。

改善、改善、改善、・・・を繰り返して、結果、イノベーションに至る。ボルドリッジ・フレームワークの目ざす姿に似ています。

※参考・参照:leonardbernstein.com

2020年8月2日(日) 母の誕生日です。元気です。 


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