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未来を読み切れない中でどのように戦略を描いていますか

 ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークは特定の方法論を規定(推奨)していません。組織の状態に応じて、最適な方法の選択を奨めており、それが効果的であるかどうかを評価し、改善していきます。

 VUCAの時代と呼ばれるように、不確実性が高く、未来が読み切れない中で、どのように戦略を策定するのがよいかは、どの組織にとっても課題です。
 特に、このような新型コロナウイルス感染症の流行下においては、目の前の危機を乗り越えることだけに集中せざるを得ず、近視眼的になりがちです。しかしボルドリッジでは、常に未来にも目を向けた「先見の明のあるリーダーシップ」を大切にしています。

 未来を完璧に予測することはできないけれども、それでも未来にどのように備えたらよいかを理解することは重要です。ボルドリッジは、特定の方法論を規定してはいませんが、DHBRにいくつかのツールが紹介されていたので、ここにまとめておきます。

 参照は、Learning From The Future(戦略的に未来をマネジメントする方法)、J. Peter Scoblic, HBR 2020。本論文は、未来を予測するツールとして「シナリオプランニング」を取り上げ、NYC沿岸警備隊の例などを交えて、その有効性を提示しています。

バックキャスティング
ある特定の未来を起点に現在を振り返り、現状の何が特定の未来の出現につながるのかを割り出す方法。一般的には、望ましい未来へと至る道筋を特定するために活用されるが、望ましくない未来へと至る過程を避ける活用法もある。

コンティンジェンシープランニング(緊急時対応計画)
先々起こりうる、あるいは多分に起こりそうな特定の出来事に対する備えを促すことによって、意思決定を支援する方法。緊急時の対応策を策定する技法。

クライシスシミュレーション、机上演習
はある特定の(単一の)シナリオを想定して対応策を検討し、その対応を分析することによって、実際にその状況が起きた時に備える方法。

フォーキャスティング(予測)
確率に基づいて数値的に未来を予測する方法。最善のアプローチは、自分でできることを予測し、できないことを想像したうえで、その2つを見分ける判断力を養うこと。

ホライズンスキャニング
目の前に存在する変化の「弱いシグナル」を探し、その動きを注視しながら、潜在的影響力を評価する技法。

シナリオプランニング
現在とは異なる未来の姿を表すストーリーを使って、既成概念を問い直し、現状のとらえ方を見直す技法。未来の予測ではなく、起こりうる複数の未来を探ることによって戦略に役立てる。

トレンド分析
すでに目に見えている変化のパターンが、潜在的にどの程度の影響を与えるかを検討する技法。変化のパターンを社会(society)、技術(technology)、経済(economics)、環境(environment)、政治 (politics)の5つのカテゴリーに分類する体系的手法STEEPフレームワークとして、広く活用されている。

ウォーゲーム
何らかの対立関係を想定し、対立相手への対応をシミュレーションすることによって、異常事態への対応を探る手法。シナリオプランニングと同じく、未来を予測することを目的としておらず、起こりうる未来を想定して得られた洞察を意思決定に役立てることが狙い。

(J.スコブリック著「戦略的に未来をマネジメントする方法」(DHBR2020年9月号)より。アレンジ筆者)

 様々な方法が開発されていることがわかります。それぞれの特徴を理解したうえで、組織の状況や目的に応じて選択します。
 


 

 

 

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