見出し画像

なぜボルドリッジの質問は「あなたの組織は」で始まるのか?

 なぜボルドリッジの質問は「あなたの組織は」で始まるのか。「あなたの会社は」というほうが自然では?
 なぜボルドリッジでは「働き手」というのか?「社員」とか「従業員」と言ったほうがわかりやすのでは?

そうですよね。

 ここで紹介ている「ボルドリッジ」は、米国が企業の競争力強化を目的として創設した国家プログラム「ボルドリッジ・パフォーマンス・エクセレンス・プログラム」、あるいはそれに含まれる「ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワーク」です。
 「ボルドリッジ・パフォーマンス・エクセレンス・プログラム(Baldrige Performance Excellence Program)」が、組織のパフォーマンスを向上させ、持続可能な結果を得るためのフレームワーク「ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワーク(Baldrige Excellence Framework)」を提供し、それをもとにした表彰制度「マルコム・ボルドリッジ国家品質賞(Malcolm Baldrige National Quality Award、以下MB賞)」を運営しています。
 1987年の創設されたMB賞は、製造業、サービス業、中小企業の3部門で始まりました。

 ここまでは、「あなたの会社」でよくて、「社員」や「従業員」でよかったのです。

 でも、1999年からMB賞の対象に教育(学校や学校区、大学など)とヘルスケア(病院などの医療機関、介護施設など)が加わり、さらに、2007年から非営利組織/行政機関が加わりました。

 MB賞受賞組織は、第一回の1988年から2020年までに、のべ134組織(複数回受賞のカウントを除けば124組織)になります。このうち、一般企業(製造業、サービス業、中小企業)はのべ77社です。すなわち残りの57組織は「会社」とは呼ばない組織です。

 MB賞は、製造業、サービス業、中小企業、非営利組織、教育、ヘルスケアの6部門に分かれていますが、MB賞の審査基準書である「ボリドリッジ・エクセレンス・フレームワーク」は、ビジネス/非営利組織編、教育編、ヘルスケア編の3種類になっています。
 すなわち、製造業、サービス業、中小企業、非営利組織/行政機関は、同じ審査基準書を使用します。非営利組織/行政機関が、事業会社と同じ基準で評価できるというのは面白いですね。

 ボリドリッジ・エクセレンス・フレームワークの要約版、「ボルドリッジ・エクセレンス・ビルダー」は一つで、すべての組織を対象にしています。
 その代わりに、中に次のような注意書きがあります。

医療機関にとって、「製品・サービス」は医療サービスです。
教育機関にとって、「製品・サービス」は教育プログラムとサービスです。

医療機関の場合、「顧客」とは、医療サービスのユーザー(患者、家族、保険会社、その他の第三者支払人など)です。
教育機関の場合、「顧客」とは、教育プログラムとサービスのユーザー(学生や保護者など)です。
(5~6ページ「組織プロフィール」の下方、注意事項)

 すなわち、製品・サービスや顧客を読み替えることで、要約版のレベルでは同様に評価できるということです。

 なお、「社員」や「従業員」と言わず「働き手」と言うのか、についてはもう一つ別の理由もあります。次をご確認ください。

★★

 筆者らGQFが翻訳した「ボルドリッジ・エクセレンス・ビルダー【日本語版】」は、米国NISTのウェブサイトからダウンロードできます。
 下方の Non-English Versions / Japanese を参照ください。英語版とページ、形式を合わせてあり、対訳版としてもご欄いただけます。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?