登山にたとえて考える

 ボルドリッジ・エクセレンス・ビルダー【日本語版】は、脳力開発センターの田中典生氏に協力いただいて出来上がったものです。その田中氏は毎日、Facebookで組織を強くするためのヒントを発信されています。

 今日教えていただいたのは、一冊の本です。それもここを読みなさいと、ページまで指定がありました。

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 それは、代表的なエンゲージメント調査の一つ、ギャラップ社のQ12(クエスチョン・トゥエルブ)についてでしたが、その12の質問の順番には意味があって、質問1から順番に5(最高点)にしていかないと効果がないか、あるいは「高山病」にかかってしまう、というものでした。

 そこでは、働き手のエンゲージメントを高める、すなわちQ12の12の質問の答えを5段階の5に近づけていくのは、マネージャーの仕事であり、その取組みを山登りに例えて段階を踏んで進んでいくことの重要性を指定しています。

 Q1~Q2 ベースキャンプ
 Q3~Q6 キャンプ1
 Q7~Q10 キャンプ2
 Q11~Q12 キャンプ3
 Q1~Q12の全てに肯定的な回答ができる 頂上
(「まず、ルールを破れ」M.バッキンガム&C.コフマン、宮本喜一訳より)

 山登りでは、ヒマラヤ級の高山に登るときには、ベースキャンプから高地に体を慣らしながらキャンプ1、キャンプ2と順序を踏んで頂上に向かいます。そうしないと、例えばいきなりヘリコプターで5,000メートルを超える高地に降り立つなどしたら、死んでしまうこともあるからです。
(高山病は、海抜2,500メートルあたりから症状が出ると言われていますから、日本の山でも起こることです。)

 Q1「自分が何をすべきか、要求されていることがわかっているか」の質問に5がついていない部下に、いきなり全社のミッションの話をしてもムダ(全社のミッションはQ8)、また逆に、Q8にたとえ5がついたとしてもQ1が5でなければ、本当のところはミッションが理解されていないということを言っています。

 ボルドリッジ・エクセレンス・ビルダーでは、組織プロフィールの質問で、組織のミッション、ビジョン、価値観を尋ねています。もしも、組織のミッションが明確になっておらず、この質問に答えられないとしても、その改善として、組織のミッションを俄かに明確にして部下に示しても、組織の成熟度が低い状態では意味がないということを言われているようです。

 この本は米国では1999年に出版されましたが、そのころまでに登場した、TQM、リエンジニアリング、学習する組織などは、キャンプ3の段階の高度な取り組みであり、高すぎる目標だったと述べています。

 我々はいまどの段階にいるのか、を理解して進むことが大切です。

 ざっと目を通しましたが、ほかにもドキッとするような記述もあるので、もう少し読み進んでみたいと思います。

 実際、ボルドリッジについては次のような記述があります。1999年の段階で「五年前にはマルコム・ボルドリッジ賞がアメリカの産業界で最も人気のある目標だったが、今日ではこれにやっと数社が応募するだけの状態だ。」

 いまなぜボルドリッジに取り組むか(こうしてここで紹介しているのか)は、きちんと答えを示さなければいけませんね。

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