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質問から何が生まれるか

 ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークは、その2021-2022版では企業や組織に対する時代の要請を踏まえて「多様性・公平性・包括性」に着目しました。そして、それを受けて、ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークの要約版、ボルドリッジ・エクセレンス・ビルダーでは、2つの質問が追加されました。

 質問は追加されましたが、それに対する答えがあるわけではありません。ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークでも、それに対する考え方は出ていますが、それにはこうしたらいいというような「模範解答」は出ていません。
 ボルドリッジでは、質問=顧客やその他の利害関係者、社会の要求事項にどう応えるかは、規定していません。それらは、自らの組織に合わせて様々な方法(プラクティス)があり、質問はそれを考えるためのヒントです。

 ボルドリッジ・パフォーマンスエクセレンス・プログラムには、その機能の一つにマルコム・ボルドリッジ国家品質賞(MB賞)があり、賞に応募する組織は、質問に対して、自組織ではどのようにやっているかを応募書に記述します。
 そして、MB賞受賞組織は、自組織のやりかたを、応募書の要約版や受賞報告会であるクエスト会議で、広く公開する義務を負います。
 すなわち、ここで初めて、MB賞を受賞する優れた組織ではどんなやり方でその質問にある要求事項に対応しているかが広く共有されます。

 もちろん、組織特有の背景の上で成り立っているやり方、仕組みであり、それをそのまま他の組織が導入することはなかなか難しいですが、実際に実現している例があり(すなわち、対応できるとわかる)、それに取り組む際の大きなヒントを得られます。
 このようにして、模範的な組織のやり方が蓄積され、米国の組織全体の知識と実践となってきました。

 今回新たに加わった、顧客と働き手の「多様性・公平性・包括性」を保証するための取り組みについても、これから優れたやり方が蓄積されていきます。(「多様性」については、以前から質問にあり、優れた取り組みが共有されています。)

 質問から何が生まれるか?

 ボルドリッジでは、質問に対して、自組織ではどのように対応しているか、そのやり方はうまくいっているか、さらに効果的にするためにどのよう改善・変更すべきを考える機会、改善の機会となります。
 また、MB賞受賞組織の取り組みから、すぐれたやり方を学ぶことができます。

 米国とは事業環境や文化・慣習が異なるから参考にならない、という見方もあると思います。
 質問から、改善の機会を得る、実際に実現している事例を知るという点については、大いに活用できるものと思います。





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