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内部統制評価の目的

内部統制は、企業・組織の不祥事を防ぐための仕組みとして制度化されました。そのベースとなるCOSOフレームワークでは、
「業務の有効性と効率性」
「財務報告の信頼性」
「関連法規の遵守」
を3つの目的とし、それに
「資産の保全」
が、J-SOX要求事項として加わりました。

その1番目の目的「業務の有効性と効率性」は、組織の目的に向けて効果的かつ効率的に業務をコントロールして高い業績を確実なものにすることで
す。すなわち、儲かるための仕組みづくりとも言えます。

特定非営利活動法人内部統制評価機構(ICAO)では、大企業だけでなく中堅・中小企業でも構築できるように、この「業務の有効性と効率性」を基軸にした内部統制評価基準を提供しています。

その最新版「内部統制評価基準 勝ち抜く会社の800のポイント」では、いまの時代に必要とされるイノベーション、ICTの基盤となる情報セキュリティ、コンプライアンスの3つの視点300のポイントが、元の500のポイントに新たに追加されました。

特定非営利活動法人内部統制評価機構を立ち上げ、この評価基準とその活用の仕組みを中心となって開発し、広めてこられた高梨智弘氏(※)は、その目的を次のように語られています。

今何をすべきなのか!
 言葉で言うことは簡単である。実際に中小企業は、環境保全の重要性や、食品偽装、使い込み、粉飾決算等の不祥事が多発した結果、社会は「良い会社を求めている」ことも、また顧客や社会は「悪い会社を許さない」と知って、何ができるのだろうか?
 自社の商品・サービスを安価に提供することだけが、中小企業の責務ではないことは、多くの経営者が理解をしている。しかし、体系的に、何をどこまでしたら良いのか分かっている経営者はほとんどいない。それを教えてくれるのが内部統制評価基準である。
 内部統制的な観点から企業経営の現状を分析すると、改善・改革すべきコトが山ほどあるのに気づかされる。具体的には、
①新しい環境変化に合った理念・価値観を有し、社員全員で共有しているか
②新しいビジネスモデルを構築できているか
③明確な経営ビジョンを構築し、必要な長期目標を設定しているか
④最適な経営戦略が策定されているか
⑤目標を達成するための最適な業務プロセスが編成されているか
⑥それらは、不正や誤謬が起きない仕組みになっているか
⑦そして、企業活動が利害関係者から信頼されているか
等々が挙げられる。
出典:「月刊社会保険労務士」第1回:「なぜ今、中小企業に内部統制を導入する必要があるのか?」内部統制評価機構 理事長 髙梨智弘 2021.8.5
(経済産業ビジネススクール「二水会」第12講座資料より)

★★

内部統制評価、知の経営、SPDLIイノベーションサイクルなどを提唱、推進されてきた高梨智弘氏は、8月16日朝、急逝されました。前週に開かれた経済産業ビジネススクール「二水会」第12講座が最後の講義となりました。
謹んでご冥福をお祈りいたします。

(※)高梨智弘氏の「高」の字は「はしご高(髙)」ですが、「はしご高」は機種依存文字であるため、本文中は「高」を用いています。



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