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ドラッカー経営を超える!

 先に紹介した経済産業ビジネススクール’時代セミナー’「二水会」第3講座では、ドラッカーについての2つ目のテーマとして、最近ビジネス誌で話題になった「元々は米国の経営学界でも重鎮だったドラッカーが、欧米の経営学界では全く顧みられなくなって久しい。」という早稲田大学商学部の三橋平教授の話をとりあげ、「その先」について話がありました。

 ドラッカーはなぜ、「世界標準の経営学」から忘れられたのか?で三橋教授は、経営学を 1)科学知アプローチ、2)人文知アプローチ、3)実践・経験知アプローチ の3つに分け、「多くの経営学研究者は、教育活動などを通じ、何らかの形で実践・経験知に関わりつつ、その上で、科学知か、人文知、人によっては両者のバランスを取りながら、もしくは、どちらかにウェートを置きながら関わっている」とし、経営学の中心がここ20年で科学知にシフトし、「世界標準の経営学」とは科学知アプローチであると述べています。

 講師の高梨智弘教授は、これに倣って、自身は「経営現場を通じ、実践・経験知をベースに、人文知にウェートを置き実践論理を解き明かす」取り組みを行ってきたと自身の研究を振り返った上で、「ドラッカー思想を、経営現場に落とし込み、実践論理を解き明かすことで、ドラッカー経営を超える!」としています。(ドラッカー思想+実践知と理解しました。)

 また、高梨氏は、科学知アプローチでは、組織・企業・個人の行動やパフォーマンスには物理学で見られるような法則性があるという前提を置き、一般性、再現性の高い因果関係の論証と検証を目指しているが、「イノベーション時代に、『特異性』『独創性』『個の重視』等が無視されてよいのか?DX時代は、デジタルが劇的に進化するために、逆に、人の意識・生活が重視されるため、人文知が経営学の中心になるべきでは」と提言されていました。

 ドラッカーが好きな日本人としては、多いに賛同しましたが、ここでの話題は、あくまでも経営学という学問の領域の話です。

 ボルドリッジでは、この20~30年の間にモノの品質(あえて言えば科学知)から、従業員と顧客のエンゲージメント(あえて言えば人文知)に中心となる課題が変わって来ています。
 『特異性』『独創性』『個の重視』なども今の時代追求すべき課題です。

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 経済産業ビジネススクール’時代セミナー’「二水会」第4講座は、「二水」でなく12月の第一水曜日、12月2日に参議院議員会館とオンラインで開かれます。次のテーマは「イ・ショク・ジュウが変わった!」。興味のある方は、主催のICAOホームページ、または、Facebook/経済産業ビジネススクールへ。

2020年11月23日記

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