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追加になった2つの質問

 2021–2022版ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークが特に着目したのは
・組織の回復力(resillience)
・イノベーション
・多様性、公平性、および、包括性(diversity, equity, and inclusion)
・デジタル化と第4次産業革命‎
です。

 2021年2月に更新されたボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークの要約版、ボルドリッジ・エクセレンス・ビルダーでは、2つの質問が追加されました。

 一つは、3.2顧客エンゲージメントの質問の4番目に追加された次の質問です。

3.2顧客エンゲージメント
(4) 顧客経験のプロセスは、さまざまな顧客や顧客グループ、さまざまな市場セグメントに対して、どのように公正な扱いを保証していますか?
(Baldrige Excellence Builder, p9 より。翻訳筆者)

 「公正な」は”fair”です。ボルドリッジ・フレームワークが特に着目した「多様性、公平性、および、包括性」に関連して、追加されました。

 例えば、米国スタバで2018年に起きた事件は、社会から批判を受け、企業として謝罪することに加えて、全店舗一斉休業しての人種差別防止トレーニングなどにつながりました。昨年2020年のBLM運動などで企業はこうした問題に取り組むことがより求められるようになりました。

 もう一つは、5.2働き手のエンゲージメントの8番目に追加された、次の質問です。

5.2働き手のエンゲージメント
(8)パフォーマンス管理や、パフォーマンス向上、キャリア開発のプロセスにおいて、多様な従業員および様々な従業員グループや従業員区分に対する公平性と包括性が保たれることをどのように保障していますか。(Baldrige Excellence Builder, p9 より。翻訳筆者)

 こちらは、従業員の「多様性、公平性、および、包括性」に関連して、追加されました。

 例えば、米国では従業員の人種による区分で、管理職における比率と一般社員における比率に差があることで社会から批判を受けるケースが出てきました。日本においては、男女の違いが顕著です。

 そのほかの質問は、言い回しの変更など若干ありますが、同じかあるいはほぼ同じです。
 6.2運用の有効性の4番目の質問は、「組織の回復力」の観点から、質問の内容が幅広くなっています。

6.2運用の有効性
(4)組織が災害や緊急事態、その他の混乱を、どのように予測し、それに備え、そこから回復することを確実にできるようにしていますか。
(Baldrige Excellence Builder, p11 より。翻訳筆者)

★★

 ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークの要約版、ボルドリッジ・エクセレンス・ビルダーは日本語で読めます。主要用語集もついています。
 「ボルドリッジ・エクセレンス・ビルダー【日本語版】」は、米国NISTのウェブサイトからダウンロードできます。下方の Non-English Versions / Japanese を参照ください。



 

 

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