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イノベーションは目的ではない

 「内部統制評価基準 勝ち抜く会社の800のポイント」は特に「業務の有効性と効率性」を基軸にした「内部統制」の有効性を診断する評価基準です。この評価基準を活用した内部統制の仕組みづくりでは、内部統制に関わる組織経営のプロセスを8つの側面(カテゴリ)に分けて、具体的に仕組みに落とし込んでいく方法をとっています。

 内部統制評価基準の8つのカテゴリーの7つ目は
7.環境変化に合わせたイノベーションの実現
です。

 カテゴリー7.環境変化に合わせたイノベーションの実現は、10個の項目で構成されています。その一つ一つについて、その中身を見てきました。

 改めてイノベーションについて確認すると

イノベーションとは
社会実態や環境の変化を洞察し、多様な分野とICTを融合させ、新しい概念や技術・プロセスを生みだし、市場・事業・サービス・組織等を創出することにより、社会や顧客に新しい価値を提供すること

であり、その目的は、社会や顧客に新しい価値を提供することであり、それが組織を新しい次元のパーフォーマンスと成功に導きます。

 「内部統制評価基準 勝ち抜く会社の800のポイント」あるいはボルドリッジは、あなたの会社がイノベーションを起こす組織になることを支援します。しかし、イノベーションを起こすことは手段であり、目的ではありません。

 組織が達成したい未来、こんなものがあったらよい、こんな社会にしたい、こんな組織にしたい、という課題があって、それを達成する手段のひとつがイノベーションです。(そのもう一つの手段が継続的漸進的改善です。)
 イノベーションと継続的漸進的改善は異なる概念ですが、補完的な概念です。成功する組織は、両方のアプローチを使用して成果に結びつけます。

 達成したい未来を実現できるのであれば継続的漸進的改善でもよいのです。

 イノベーションやそれをICTによって達成するDXが、あるいはそれによる変化や変革そのものが目的となっていないか、注意が必要です。

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 内部統制評価基準改訂版「内部統制評価基準 勝ち抜く会社の800のポイント」については、NPO法人内部統制評価機構のウェブサイトをご覧ください。

 ボルドリッジ(ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワーク)は、米国発の経営フレームワークです。筆者らが翻訳した、ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークの要約版、「ボルドリッジ・エクセレンス・ビルダー【日本語版】」は、米国NISTのウェブサイトからダウンロードできます。ページ下方の Non-English Versions / Japanese を参照ください。


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