見出し画像

破壊的テクノロジーの変遷を見る

 「破壊的テクノロジー」については興味があったので、さらに遡って調べてみました。

 ハーバードのクレイトン・クリステンセン教授が「イノベーションのジレンマ」で「破壊的テクノロジー」の脅威を紹介したのは1997年(日本語版は、2001年)。
 ボルドリッジに「破壊的テクノロジー」が初めて登場するのは、2005年です。それまでボルドリッジには、「破壊的(disrupt)」という言葉も出ていませんでした。

 今日の競争の激しい市場で事業を運営するということは、パフォーマンスを維持し、競争上の優位性を維持する能力に影響を与える可能性のある多くの戦略的課題に直面していることを意味します。
 これらの課題には、・・・・破壊的テクノロジーに基づく、新しいまたは代替の製品・サービスの導入、・・・などがあります。
 このようなテクノロジーの例として、
・タイプライターに代わるパーソナルコンピューター
・従来の電話や公衆電話に挑戦する携帯電話
・翌日配達サービスからビジネスを獲得するファックス機
・他のすべての通信手段に挑戦する電子メール
があります。
2005 Criteria for Performance Excellence より。翻訳&アレンジ筆者

 2007年からは、文頭に「これまで(In the past)」が加わり、過去の例を示していることを明記して、ずっと同じ例示がされていました。
 2011-2012年版で「ソーシャルメディア」が加わり、さらに、2013-2014年版で「スマートフォン」が追加されました。

 過去には、そのような技術には
・タイプライターに代わるパーソナルコンピューター
・従来の電話や公衆電話に挑戦する携帯電話
・翌日配達サービスからビジネスを獲得するファックス機
・他のすべてのコミュニケーション手段に挑戦する、電子メール、ソーシャルメディア、スマートフォン
が含まれていました。
2013-2014 Criteria for Performance Excellence より。翻訳&アレンジ筆者

 以降、2017-2018年版までは同じでしたが、2019-2020版で「最近では(Recently)」と、例が新しくなりました。
 そして登場するのは、スマートフォン、オンラインストア、電子メール・メッセージング・ソーシャルメディア、アプリベースの乗車サービスです。

 2019-2020年版、2021-2022年版は、次の記事で紹介しました。

 「破壊的」という言葉は、「破壊的テクノロジー」のほかに、「破壊的なできごと(disruptive events)」として、2013-2014年版から、ボルドリッジに登場します。
 これはまさに、コロナなどのパンデミック、地震や台風などの大規模な自然災害などを指します。これらについても「備え」をもつことが課題として挙げられています。

◆◆

 ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークは、高いパフォーマンスを実現するための「証明された」リーダーシップと経営の実践的な方法(プラクティス)を示したものです。
 筆者らが翻訳したボルドリッジ・エクセレンス・フレームワーク要約版、「ボルドリッジ・エクセレンス・ビルダー【日本語版】」は、米国政府機関NISTのウェブサイトから無償でダウンロードできます。
 下方の Non-English Versions / Japanese を参照ください。英語版とページ、形式を合わせてあり、対訳版としてもご欄いただけます。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?