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2.経営資源の確保・維持

 「内部統制評価基準 勝ち抜く会社の800のポイント」は特に「業務の有効性と効率性」を基軸にした「内部統制」の有効性を診断する評価基準です。この評価基準を活用した内部統制の仕組みづくりでは、内部統制に関わる組織経営のプロセスを8つの側面(カテゴリ)に分けて、具体的に仕組みに落とし込んでいく方法をとっています。

 内部統制評価基準の8つのカテゴリーの2つ目は
2.経営資源の確保・維持
です。

 カテゴリー2.経営資源の確保・維持は、次の10個の項目で構成されています。

2.(1)人財採用の広報活動等
2.(2)能力評価の仕組み
2.(3)職場環境への配慮
2.(4)人財の適正配置
2.(5)製品・サービスの品質確保活動
2.(6)原料・資材等の統制管理
2.(7)資金調達ルール
2.(8)入出金の承認決裁
2.(9)ビジネスパートナーの確保
2.(10)知的財産の管理体制
(「内部統制評価基準 勝ち抜く会社の800のポイント」より引用。)

 ヒト,モノ,カネ,情報の4つが主要な経営資源とされていますが、(1)~(4)がヒト、(5)~(6)がモノ、(7)~(8)がカネに関する項目です。また、(10)知的財産は情報の重要な要素です。
 ここではさらに、購買、販売、財務等に関するビジネスパートナーも重要な経営資源として(9)で確認します。

 これらの項目はそれぞれに質問があります。その質問が、内部統制の要求事項になります。

 「内部統制評価基準 勝ち抜く会社の800のポイント」では別々のページに離れて記載されている項目およびその質問を一覧してみます。

           2.経営資源の確保・維持
2.(1)人財採用の広報活動等
  会社にとって必要な人財(ヒト)確保のため、求人広報活動(会社の業務案内、業務内容、労働環境、給与水準等の開示)等が、有効且つ適切に市場向けに行われていますか。
2.(2)能力評価の仕組み
 各従業員は直接上司から、業務に関する能力、経験、労働意欲、向上意欲が正当に評価され、その結果が、給与、昇進、報奨に適切に反映される仕組みとなっていますか。
2.(3)職場環境への配慮
 従業員が快適に働けるような職場環境と生活環境(労働条件、オフィスレイアウト、衛生環境等)には常に深い配慮がされていますか。
2.(4)人財の適正配置
 会社内の各部署への人財配置は、従業員個々の能力、経験、性向を考慮し、さらに業務内容、量との関連においても適切ですか。
2.(5)製品・サービスの品質確保活動
 製品・サービス提供に不可欠な原料・資材(モノ)の確保・維持は、製品・サービスの品質確保と向上、購買のタイミング、生産の効率化、コストの削減等の見地から、常に検討され、その結果が経営活動に反映されていますか。
2.(6)原料・資材等の統制管理
 原料・資材等の生産活動のための消費、在庫残高は、不正行為の排除、品質確保、コスト削減の見地から、厳格に統制管理されていますか。
2.(7)資金調達ルール
 資金(カネ)の調達に当たっては、使途、必要度、金額、調達手段を明確にし、適切なタイミングで、必要な決裁を得て実行していますか。
2.(8)入出金の承認決裁
 資金の入出金は、その金額の多寡に応じ、然るべき社内の承認決裁を経て実施されていますか。
2.(9)ビジネスパートナーの確保
 購買、販売、財務等に関する重要なビジネスパートナーの選択・確保・維持について、基準・ルールに従って承認、決裁されていますか。
2.(10)知的財産の管理体制
 会社が保有する特許権、実用新案権、意匠権、技術ノウハウ等の知的財産権の取得、維持管理、消滅について観察チェックし、経営者に必要な情報を提供する専門の担当者が存在していますか。
(「内部統制評価基準 勝ち抜く会社の800のポイント」より引用。)

  「内部統制評価基準 勝ち抜く会社の800のポイント」では、それぞれの質問(要求事項)に、10のポイントが示されており、それをチェックする仕組みです。

 10のポイントは、「内部統制評価基準 勝ち抜く会社の800のポイント」を見ていただくとして、このノートでは、それぞれの質問の意味するところ(要求事項)を、ボルドリッジの視点から確認していきます。

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内部統制評価基準改訂版「内部統制評価基準 勝ち抜く会社の800のポイント」については、NPO法人内部統制評価機構のウェブサイトをご覧ください。

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ボルドリッジ(ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワーク)は、米国発の経営フレームワークです。
筆者らが翻訳した、ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークの要約版、「ボルドリッジ・エクセレンス・ビルダー【日本語版】」は、米国NISTのウェブサイトからダウンロードできます。ページ下方の Non-English Versions / Japanese を参照ください。


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