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ブレンディングハンマーとポンチの話


今回はツールの話です。



車の凹みをリペアする方法は鈑金塗装が定番だと思いますが

損傷の程度によってはデントリペアという方法もあります。

デントリペアは凹みを元の状態に復元する無塗装での仕上がりで

ツール(鉄の棒)を使って、パネルの裏から押し出す方法と

プーリングといって、グルー(接着剤)をタブにつけてパネルの表から引き出す方法があります。



デントリペアではないですが、鈑金塗装前提でGPR(グループルリペア)というグルーで引き出す方法もあります。




デントリペアのツール(鉄の棒)でのリペアとは

縦5センチくらいの凹み

このような鉄の棒でパネルの裏から凹みを押し出します。




デントリペアのプーリング(グルーでの引き)でのリペアとは

横4センチくらいの凹み

このようなタブにグルー(接着剤)をつけて凹みを引き出します。




GPR(グループルリペア)での鈑金塗装のリペアとは


鈑金塗装では広い範囲のリペアが多くなってきますので

使うタブも大きかったりガッチリ引き出せるタイプになります。




このようにデントリペアやGPR(グループルリペア)では

ツール(鉄の棒)で押し出す方法だったり

グルー(接着剤)とタブを使って引き出す方法がありますが

それぞれのリペアで共通して使用するアイテムがあります。


それがブレンディングハンマーやポンチです。

パネルを叩いても傷がつかない仕様になっています(ガッツリ叩けばつくかもですけど)



たいていの凹みは、回りにテンションがかかっており

そこをブレンディングハンマーやポンチで叩いてテンションを抜き、凹みの芯を出しやくする必要があります。

ですので、たいはんの凹みはツール(鉄の棒)やグルーとタブだけでは直しきることができません。




それと凹みじたいは小さくても、歪みが広い範囲に波及していることも多いので

そんな時にはブレンディングハンマーで叩いてならします。




この写真ではちょっとわかりづらいとは思いますが😅

青いテープ、上下の間が複雑に歪んでいます。



折れているような凸の部分を叩いて全体をなじませます。

凸を凹に移動させるといった感じでしょうか。



使ったのはこの2本


最近はこのFast PDR Toolsのブレンディングハンマー(茶色の木の柄)と

Shane Jack ハンマー(黒い柄)につけたレザーチップがお気に入りです。

この4つの打面(Fast PDR Toolsの大と小、レザーチップの中と小)

があれば大体の折れや凸をならせます(ガッチリ折れてるのとかは別ですよ)





面のカーブが違うメタルのチップや、先端の細いプラスチックのチップなど

数は少ないですが、いろいろと変えて試してみた結果

僕にとってFast PDR Toolsのブレンディングハンマーが最適でした。

他のブレンディングハンマーや他のチップともカーブの違いはそれぞれありますが

ハッキリと「これが使いやすい」とまでは感じていませんでした。

ですがFast PDR Toolsを使ってみると

自分が思ったように凸を落とせるのでかなり気に入っています。

もしかしたら他のブレンディングハンマーやチップのカーブの違いというよりは重さや硬さなのかなと。

Fast PDR Toolsの商品情報に

「ヘッドの素材は非常に高い硬度を持つ特殊合金」と書いてありますので

他のブレンディングハンマーやチップとは材質が違うのかなと思っています。



やわらかく叩けるチップもいろいろと試しました。

それぞれ凸の状態で使い分けますが

その中でも使いやすいと感じるのがVIPのレザーチップです。



折れや凸を叩いた時に、押し広げるといった感じでしょうか

レザーチップ独特の使用感が気に入って手放せなくなってしまいましたね。






そしてより正確に強く叩きたい時にはポンチを使います。

ポンチは片方の手でもち、狙ったポイントに合わせるので

ブレずにしっかりと力を伝えることができます。





ポンチはおおまかに2タイプあります。

合成樹脂やメタルなどの素材で、1本でできているタイプと

ねじ式になっていて、チップを取り替えできるタイプです。

チップタイプはポンチやブレンディングハンマーに付け替えて使えますので便利ですね。

チップは、プラスチック、ゴム質、レザー、メタルなどあって

それぞれ太〜細のサイズがあり凸の状態に合わせて使い分けます。


メインで使っているポンチ


チップの材質は左から

メタル、PEEK(極細)、PEEK(細)、プラスチック(普通のかな?)です。

中央2本、クリーム色のチップがPEEK(ピーク)という材質なのですが

樹脂素材の中でもトップクラスの機能を持っていて

「耐熱性、機械的強度、耐薬品性、耐熱水性、耐放射性、難焼性」等に

優れているそうです。

確かに使っていて、硬くて磨耗しにくいなとは感じていました。

ただ、まったく磨耗しないってことでも無いですけどね。

ずっと使い続けていると先端の面が広くなってきたりするので

削って磨いて使っています。

この4本の中でもPEEKの極細と細が使用頻度が高いです。

細さと硬さが自分的に使いやすいですね。



それとメーカーによって柄の部分にも特徴があって

・円柱や四角柱
・長〜短
・転がらないようにグリップエンドが六角形なっている
・転がらないようにマグネットが埋め込んである
・握る部分が滑らないような細工がしてある

といろいろあります。




これはブレンディングハンマーとポンチでならした例です。


長さ30センチくらいに波及している折れです。


粗がありますがブレンディングハンマーとポンチでこんな感じにならすことができます。

ここから、より完璧に近づけるには裏からツール(鉄の棒)での押しだしが必要となります。






ちなみに、たいしたことのない凹みであれば叩きなしで直せます。


3センチくらいのちょっとした凹み

裏から押し出します。

叩きなしで完成


凹みの回りに、テンションがたいしてかかっていなければ

押し出すだけですぐに直すことができるので楽です。

ですが、こういった凹みは少ないので

やはりブレンディングハンマーとポンチは必需品ですね。





今回はデントリペアやGPR(グループルリペア)に欠かせない

ブレンディングハンマーとポンチの話でした。



以上、ありがとうございました。


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