告白

なんだかんだ十年以上の付き合いになる、苦楽を共にしてきた親友の事が、好きなんだと気が付いた。

あまりにも遠回りをしすぎた。辛い時、泣きたい時には、いつも君の顔が浮かんでくる。昨日作った大学芋は、君が美味しそうに食べてくれそうだな、と思いながら平らげた。

 たくさん振り回された。たくさん傷つけた。だからいつの間にか、君が心に棲みついてしまった。

 お互いに、 好き だとか 親友だよね とか、そういう好意を言葉にしたことは一度もない。単純に口下手なのもあるけど、君があまりにも当たり前に、まるで空気のように私の人生に存在してくれていたから、すっかり伝えることを忘れていた。

 それでも、私は気持ちを伝えない。君が人生から消えてしまったら、多分生きていくことが出来ないから。今まで通り、恋人を紹介されても平然と挨拶するし、楽しい話も大変な話も、息をするように聞き続ける。


 そしてその時が来たら、棺の中に一緒に入ってこの肉体とともに記憶も、想いも、すべて燃やす。


もしも来世があるのなら、きっとまた、慣れない校舎の中で新品の制服を着た私が、 ホウキってどこにある? と尋ねて、ボケっとした顔の君に無視されるのだろう。

 これからは、ありがとうを捧げよう。これまでの分も全部、一滴残らず捧げよう。少し気味が悪くいと思われるかもしれない。でもこれは、全部君から貰ったもの。だから、たった五文字に思いを込めて、君に伝え続けていよう。

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