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詰めろ詰めろっていったいなんなのさ?①

どーもこんばんは、がばなーです。
何回かに分けて、「詰めろ」や「必至」といった将棋の終盤で重要になる概念について説明していきたいと思います。

この記事では,「あとは詰めろ詰めろの連続で迫っていけば〇〇の勝ち」というやつについて説明します。プロの先生が解説でよく言っていますね。将棋初心者のときは「こいつら,なに言ってんねん?」と思っていたのですが,最近,うまく説明できるようになりました。説明できるということは,理解したってことですからね。なので,説明してみます。

「詰み」って何なのさ?

簡単なところから説明していきます。
Wikipediaによると、詰みと言うのは、「先手・後手どちらかの玉将が、完全に捕獲された状態を指す 」のだそうです。
そして、「戦いの最終目標であり、どちらかが「詰み」になった時に勝敗が決する」とも書かれています。

詰みの形は様々ありますが、もっとも有名なのは下記の頭金です。

金で王手されたので、金を王様で取りたいですが、金が歩で支えられていますので、取れません。

どちらかの王様がこうなれば、わかりやすく勝敗が付きます。

ここまでは簡単ですね。

詰めろって何なのさ?


さて、次は詰めろです。
詰めろ、とは一体なんでしょうか?

Wikipediaで「詰めろ」を調べると、「必至」の項目に飛ばされるのですが、そこで書かれている説明は以下のようなものです。

必至(ひっし、必死とも)とは、将棋における手筋の一つ。詰めろの一種であり、どのような受けの手を指してもそれが解除できない状態のこと。詰めろの中で最も厳しいものと見ることができる。

必至…どう受けても次に即詰み(そくづみ)となる。
詰めろ…正しく受ければ詰みにならない。受けなければ即詰みとなる。

先手の玉将に必至がかかっている状態とは、先手が次の番で王手以外の何を指したとしても、その直後に後手が正確に指せば、先手が(王手の連続で)詰まされる状態のこと。

……うん、急激に難しくなりましたね。

非常に良い説明だと思われるのですが、初心者にとっては難しいと思います。

詰めろというのは、「次の手番で詰ますぞ!」という状態の一種ですが、「まだ逃げ道がある」という状態ですね。

簡単な例で説明します。仮に、以下のような局面があったとして、下記の13歩は詰めろになっています。次に頭金を狙った手ですね。

次に、後手は何を指しますか?
(画像では、上手という表記になっていますが、気にしないでください)

「相手が詰めろを掛けてきたから私も詰めろを掛けよう」と、△17歩と指すと後手の負けになってしまいます。


なぜなら、▲12金までの詰みがあるからですね。


ということで、後手は他の手を指す必要があるわけです。攻め合うと負けてしまうので、守備的な手を指すしかありません。

結論から言うと、この局面の正解は△22玉です。こうすれば、▲12金と打ってきても上部へ逃げることができますね。そうなれば捕まりません。


この局面から、わかったことをまとめます。

・詰めろというのは、「次の手番で詰ますぞ!」という状態の一種。
・詰めろの状態になると次の一手で勝敗が決着する可能性がある。
・自玉に詰みが無ければ、相手玉に詰めろを掛けると、相手は守備的な手を指すしかない(詰めろ逃れの詰めろについては今後の記事で述べます)。
・単発の詰めろであれば、詰めろを解除することは可能。

詰めろの良くない解除方法①


詰めろの解除方法はさまざま考えられるわけですが、良くない解除方法というものもあります。

説明の都合上、「そうはならんやろ」という変化を解説していきますがご容赦ください。

例えばさきほどの局面、後手が正しく受ければ,どうやっても引き分けですが,△22玉に変えて、△12歩はどうでしょうか?

これでも、詰めろを解除できていますが、▲23歩でまたもや頭金までの詰めろになってしまいます。

次は▲22金が狙いなので、後手は受けるしかありません。しかも、△12歩を打ったことで、△17歩と打てなくなってしまいました(△17歩はニ歩の反則負けです)。よって、後手から詰めろを掛けることもできなくなってしまい、後々の反撃手段も失われてしまいました。

指すとしたら△21歩くらいです。先手は詰めろを掛けることはできなくなったものの、▲33金と打って、と金作りのプレッシャーをじわじわ掛けていけば良いでしょう。

このように、「詰めろは解除さえすれば良い」というものではく、解除の仕方にも注意が必要なのです。

詰めろの良くない解除方法②


もう一つ、良くない例を見てみましょう。先程の局面から△21玉と寄るのはどうでしょうか?

これなら▲12金の頭金の詰みは回避できているぞ、と安心するのも束の間、先手は▲23歩でまた詰めろを掛けることができます。

後手は、ここでも応対を間違えてしまいました。△31玉です。これは詰めろを解除できていますが、△31玉には▲33歩で、また詰めろです。

さきほど同じように、後手は△41玉で詰めろを解除しますが、▲43歩がまたもや詰めろ、後手はさらに51玉で……ということを繰り返していきました。

その結果、以下のような盤面になりました。

後手が「詰めろの解除方法」をミスし続けたので,先手は歩を8枚並べることができました。「先手が詰めろを掛ける」→「後手が詰めろを解除する」→「先手が詰めろを掛ける」→「後手が詰めろを解除する」→……のループの結果ですね。

ここで、後手は何を指すべきでしょうか?もう後手の負けだと思いますが,最後までやってみましょう。

例えば,△91玉は▲93歩と垂らされます。またも、詰めろです。

△82歩は▲92金で後手負けなので、△81金くらいですが、これには▲72歩成が好手。

後手はと金を取ると▲92金で詰まされてしまうので、と金を取ることができません。かと言って他に手も無いため、これは先手勝ちでしょう。

詰めろの良くない解除方法③

蛇足ですが,面白半分でもう少しやってみましょう。△92玉から何とか引き分けに持ち込めないでしょうか?

これにはじっと84金と支えておきます。この手は詰めろになっていませんが,これくらいでも次に▲72歩成が詰めろとなるので先手の勝ちです。

無駄な抵抗ですが,▲72歩成を受けるために△71金と受けてみます。

これには▲52歩成くらいで先手勝ちです。△71金と打つと,反撃手段もなくなり,どうやっても勝てません。

仕方ないので,△17歩から反撃してみます。

先手は▲28玉と躱せばいいものの,▲29玉と指してしまいました。

先手は混乱しています。これに乗じて,後手も「詰めろ詰めろ」で歩の垂らし攻撃をしていきます。

その結果,8筋まで歩を垂らしきりました。

なんやねん,この展開……アホちゃうか……?と思いますが,ここで先手も▲98玉を選択。

ここで,後手が詰めろを継続する手段は無いので,△86金でどうでしょうか?

これは残念ながら先手の▲72歩成が一手速い。

やむなく後手も△78歩成と追随しますが,▲82歩成まで,先手の勝ちですね。

やっと……やっと……この茶番に終止符が打たれました。詰めろ詰めろの連続攻撃を先に仕掛けた先手が1手差で勝ちました。感動ですね,オラ泣けよ。

まとめ

上の図面などから、わかったことをまとめます。

・詰めろというのは、「次の手番で詰ますぞ!」という状態の一種。
・詰めろの状態になると次の一手で勝敗が決着する可能性がある。
・自玉に詰みが無ければ、相手玉に詰めろを掛けると、相手は守備的な手を指すしかない(詰めろ逃れの詰めろについては今後の記事で述べます)。
・単発の詰めろであれば、詰めろを解除することは可能。
・しかし,詰めろには「良い解除方法」と「悪い解除方法」があり,「悪い解除方法」だと次の手がまた詰めろになってしまう。
・詰めろを解除されても,次の一手で詰めろを掛けることができれば,連続攻撃が可能。
・この連続攻撃は詰めろが完全に途切れるまで続く。
・受け手が徐々に苦しくなっていくように,詰めろ詰めろの連続攻撃を続けると,攻め手が押し切って攻め手の勝ちとなる。
・こういったやり取りのことを「あとは詰めろ詰めろの連続で迫っていけば〇〇の勝ち」というふうに,プロ棋士の先生は解説で言っている。

……というわけで,この記事を読んだみなさんも,「あとは詰めろ詰めろの連続で迫っていけば〇〇の勝ち」の意味がわかったと思います。わからないひとはこの記事を100回読み直してくださいね。

追記

親愛なるガバ田ガバ蔵兄貴から、後手が勝つ方法を教えてもらったので追記しておきます。

下記の局面、本譜は△87歩でしたが、ここで正確に指せば後手の逆転勝ちとのこと。何を指しますか?

正解は△87金でした。

これなら、先手は△78歩成からの詰めろを解くことができません。
かといって、後手玉を詰ませることもできないですから、後手の逆転勝ちです。

というわけで、お互いに悪手の海に溺れた、茶番劇でしたね。ガバ蔵兄貴のシナリオの方が完成度が高かったのは悔しいですが、そこを逃していくのも私らしい気がしています。ガバ蔵兄貴のおかげで記事の完成度が上がって、とても誇らしいので、結果オーライとしましょう。ガバ蔵兄貴、ありがとナス!

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