【エッセイ】Gに纏わる真夏の怪談
真夏の夜の悪夢
夕飯の後、手洗いに向かうべく半開きのドアのノブに手を伸ばした瞬間、反対側から揺れ動く二本の髪の毛のようなものが視界に入った。
その細さに反して、異常な生命力を感じたとき、私は何が起きているのかを理解する前に、全力でバックステップしていた。
「間違いない、アイツだ。」完全に不意を衝かれた。
新築同様にリフォームされた清潔なマンションの一室に引っ越して間もなかった私は、無意識の内に今年はアイツと出くわすことはないだろうと安心しきっていた。
激しい動揺を必死に抑えながら、次の一手を考え始めたその刹那
「あれ?蝉が飛んでる?」と妻が呟く。
気が付くと私は害虫駆除業者へ電話していた…
Gに纏わるTips
そんなこんなで業者の御力をお借りして無事難局を乗り切ったわけですが、その際にいくつかアイツ(苦手すぎて名前も呼びたくない…)に関する興味深い話を伺ったため、皆さんにも共有しておきます。
記憶の中の口頭でのやり取りを基に作成している記事なので多少不正確な点もあるかもしれません。ご理解いただけますと幸いです。
害虫駆除業者の相場とサービス内容
害虫駆除業者はアイツに限らず、ネズミやシロアリ等、人間の生活を脅かす幅広い生物の駆除と侵入対策を生業にしています。
今回私が受けたサービスは次のとおり。
費用は当然防除対策を施す地点数など、サービスの内容によっても前後しますが、アイツの駆除・防除の場合だと平均して凡そ2〜5万円の範囲に収まるとのこと。
ただし、いわゆるボッタクリ業者では見積も取らずに突然15〜50万円の請求をしてくるパターンもあるようです。
ボッタクリを回避するには、見積段階で費用が発生しないことの確認や、見積外の費用が発生する場合の事前通知などを徹底することが有効とのことです。
エネルギー源
アイツは人の食べ残しはもちろんのこと、ホコリ、人や犬猫の毛なども好んで食べ、エネルギーに変えているそうです。
一説では、髪の毛1本あれば3ヶ月は餓死せず生きられるとか。逞しすぎてドン引きしました…
飛行に関する真実
アイツの飛行に関して、私は昨日まで次のような説を信じていました。
皆さんも聞いたことありませか?ただこれ、出所も不明な信憑性に欠ける話だそうです…アイツは平然と普段から飛行しているとのこと。怖すぎる…
ただし、いわゆる蝶や蜂、鳥とは異なり、アイツは飛行というより滑空していると言った方が正確とのこと。
高いところから低いところへは飛べても、低いところから高いところへは飛べないそうです。
床を這っている間は少なくとも飛ぶことはないという点で幾分か安心です。天井に張り付いていたら最悪ですが…
主な侵入経路
アイツらの主な侵入経路は次のとおり。成体でも2mmの隙間があれば侵入可能とのこと。
戸建てはもちろん、集合住宅でも1階〜3階の住居は気を付けていても幼生が侵入するリスクが非常に大きいそうです。折角気を付けて成体の侵入を防いでも、幼生が侵入したら元も子もないので、本当に嫌な人は4階以上に住むことを心掛けましょう。
意外だったのは、よく言われる室外機経由の侵入は、実は非常に稀ということ。600〜700件に1件程度の確率らしいです。
しばしばエアコンから落下する姿が目撃されているのは、別ルートで侵入した個体が内部の埃を食べるためにエアコンへ取り付いているケースとのことでした。
また、宅配便で届く段ボールに付着しているケースについては、最近のAmazonの段ボール箱はまず心配ないくらい付着事例が少ないということ。ただやはり野菜や果物などを運ぶ段ボールと一緒の場合は厳重に警戒した方が良いみたいです。
人間にできるささやかな抵抗
今回、業者へ依頼してブラックキャップの20倍程度の毒性のあるというベイト剤(毒餌)や、塗布面を通過しただけで死亡するという薬剤を侵入経路や侵入後の通路と思しき箇所に設置いただきましたが、素人ではやはり扱いが難しかったりあまり強力なものは手に入りづらいようです。
では私たちに結局できることは何なのか。伺ったところ、市販で一番効くのは結局ゴキジェット、あとはアイツが隠れて移動しにくいように床面にできるだけ物を置かない家づくりを心がけることが我々にできるささやかだけれど精一杯の抵抗ということでした。
夏も半分が過ぎたところですが、冬が訪れるまでの期間、業者の助言を素直に聞いてアイツに脅かされない日々を過ごしたいと思います。
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