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ずっとお城で暮らしてる【ナニタリタイ】

前置き


地球の皆さん、こんばんは~!合法ショタ人型カビ宇宙人系Vtuberのゴウゴリウム・グウゴヴィラムです。学名です。
この記事を読むにあたってこれらの情報は覚えていただかなくてけっこうです。
何も詳しくないけど語りたい、略してナニタリタイシリーズ始めていきます。
ネタバレ注意です。

ずっとお城で暮らしてる

シャーリイ・ジャクスン 市田泉 訳
創元推理文庫

あらすじ

ある悲劇があった屋敷の生き残り、メアリ・キャサリン・ブラックウッドことメリキャットは、美しい姉のコンスタンスことコニー、狂気に呑まれつつある伯父のジュリアンと暮らしていた。
村の人々は誰も彼も冷たく、子どもたちは容赦のない歌で彼女らを囃し立てる。
それでも優しい姉が居てくれ、美味しいものを食べて、おまじないに耽っていればメリキャットは幸せだった。
しかしそんな日常も、遠方で暮らしていた従兄のチャールズが現れたことによって終わりを告げる。
いがみ合うメリキャットとチャールズ。緊張が高まる風景。
彼らの溝が決定的になった時、悪意の炎が屋敷を包み込み……。

感想


読み終わった後の感覚としては『遠い声 遠い部屋/トルーマン・カポーティ』に近かった。
この物語について他の方はどう思われたのかって色々感想を漁ってみたんですけれども、登場人物が皆好感が持てないとか、割と姉妹のことも嫌っている方も多くてですね。
僕はおそらくメリキャットが元の家族に虐待されてたんじゃないかって所とか、心が少女のままで成長できない、拒絶しているのかなって所とかがズシンときまして。
やったことは許されないしメリキャットも邪悪なところもあるのかもしれないんですけど、境遇の悲惨さや現実逃避の仕方などひっくるめて好きな方でした。
信頼できない語り手の部分もすごいあって、実際のところはどこまでどうだったのかなって感じではあるんですけど。
こういう読者に真実を委ねる系の作品はその人それぞれのフィーリングが大事なんだろう。
少なくともチャールズに関しては鼻が利いてたんだろうな。

後半の村人総ヒステリックなシーンの筆致がエグすぎる。一番書いてて楽しかった辺りなんだろうなぁと思わされました。
そしてその後村人たちが、呪いや報復を恐れてか、差し入れをしたり急に人間性を取り戻して姉妹に媚び始めるあたりも容赦がない。
浅ましい~!!! 怖い~!!! 許されることかよ~!!!!
僕が買ったのは裏側のあらすじに「超自然的要素を排し」ってわざわざ書いてあるんですけど、これってひたすらに人間の話だからなんですかね? 神様も悪魔もいなくて、人間の心の物語だから?
だからおまじないも意味ないし、救ってくれる誰かも居ない。いや、居たのかもしれないけどはね退けてしまっている。ううん。

姉妹がああいう結末を選んだのも言葉にできなかった。
コニーはおそらくメリキャットの罪をかばうと決めたときからずっと諦めていて、チャールズと共に幸福になる道もあったのかもしれないけど結局それも幻影にすぎなかった。どんな思いで暮らしてきて、これからも暮らすのか。
前からお城ではあったけど、真の意味でお城になった。
ずっとお城で暮らしてる。ここでタイトル回収グオオオオオオオオ。心にダメージ。

シャーリイ・ジャクスンさんの作品はこちらが初めてで、ネットの記事で紹介されてるのを見かけて読んだのですが
こんなにモヤっとしたボディーブロー食らわさられると思わなかった。
スモーカー中将にパンチされてる感じ。
心乱されてえな~~って時にいいかもしれない。

なおこちら2018年に映画化されているみたいです。
気になる……うごご。


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