マガジンのカバー画像

嘘とほんとの創作少話

2
テーマに沿って少話を
運営しているクリエイター

記事一覧

二つ折れになった格好

立ち姿の美しい人は、挨拶で体を曲げる時もきっと美しいのだろう。 私などは普段から猫背だし、体に芯がないとよく言われる。お辞儀などしようものなら、ただでさえ曲がった体が波打って誠意のかけらも表せない。 「美しさ」なんて私からは遠く遠くにある形容詞だ。 でも、社会人ともなればお辞儀をする機会も増えるってもんで、いつまでも波打ってるわけにもいかない。わかめでもあるまいし。 さてと、美しいお辞儀。何をお手本にすればいいのやら。美しく二つ折りになるものを、とりあえずは手近で探し

綺麗な世界

完璧なものばかり集めている。 まん丸い硬貨。 しっかりと角の出た豆腐。 真っ直ぐな姿勢。 そんな中で、なかなか完璧なものを見つけられないものがある。 完璧な弧を描く「曲がったバナナ」だ。 曲がったバナナ、たくさんあるじゃないかって? …はぁ、わかってないな 巷に溢れているのは「歪んだバナナ」ばかりだよ。 #ショートショートnote