是諸仏教


「諸悪莫作 衆善奉行 自浄其意 是諸仏教」

昔、中国は唐の時代。白居易という役人がいた。白楽天という名の方が馴染み深いかも知れない。

ある時、杭州の長官に赴任した彼は、鳥巣禅師と呼ばれる道林という僧侶を訪ね、仏教とは何を教えているものかを尋ねた。

その問いに答えたのが、冒頭の言葉。七仏通戒偈という。

要するに、悪いことをせず、良いことをして、清く正しい人になりましょうね。ということである。

これを聞いてどう思うだろうか?私は、「え、そんなこと?」だった。

事実、白居易は呆れて「そんな事は3歳の子供でも知っている」と言った。

それを受けて道林、「3歳の子供でもそれを知っているが、80歳老人でもこれを行うことが出来ない」と答えた。

白居易は礼を為して、その場を去っていった。という。

仏教と言えば、難解な経典を歌にして読むもの。くらいの認識しかなかった私にとって、このエピソードは大変に興味深いものとして、印象に残っている。

一方で、道徳や各宗教といっても、根幹は一つ。結局は皆この言葉に集約されてしまうのではないだろうか。

難しいのは、善悪の区別はとても付きにくい。という事だ。

良い事を思って悪い事をしている場合もある。その逆も然り。

一つの基準として、人が喜ぶかどうか(相手の嫌がることはしない)があるが、悪い事を好む人もいる。

単純でいて、なお且つ難解な問題である。

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