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アニメ背景新人時代に知りたかったこと

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「背景の描き方」以前の基礎知識です。背景会社1~2年目の頃に調べてもわからなかったことを当時の自分に教えるつもりで言語化しています。個人の、今現在の僕の見解ですので正確性や再現性… もっと読む
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主役を目立たせる練習

絵を描いていて いまいち目立たせたいものに目がいかない なんて悩んでいる方は多いのではないでしょうか? 僕も次の2点 絵に注目してほしいポイントがない 光と影の色の考え方が曖昧 を最優先で改善しなければと模索中なんですが このうちの1つ 「絵に注目してほしいポイントがない」については ヒントが見つかったような気がします そのきっかけは 先日やったスケッチで 主役を目立たせるってこういうことか!と 実感したことです この先に「注目してほしいポイントを作る」ということに

「白」「緑」球の色調査(正午の直射日光)

はじめに木を描くときに 他の人はどんな色を使っているんだろう? その色を使っている根拠って何だろう? って疑問に思ったことはありませんか? 僕は屋外スケッチや風景イラストで木を描くときに ・具体的にどんな色を使えばいいのか? ・実際に「影は青い」のか? ・明暗境界部が一番彩度高いって本当か? という初歩的な疑問を持ったので 木の模型として 発泡スチロール球の下部分を切って緑色に塗り 撮った写真の色をフォトショップの スポイトツールで確認してみることにしました 今回の実験

主役を目立たせる「仕上げ」

上記の2つの記事で 距離と明暗のコントラストを対応させた絵作りについて説明しました しかし、これだけでは 距離を説明的に明暗に置き換えた「図面」のようなものにすぎません ここから、さらに一工夫して「絵」にしていく必要があります 下図の写真を絵に起こす場合について説明します 絵を描きなれていて自分で情報をコントロールできる人は 最後に仕上げをするというような段階を踏む必要がありません このようなレベルの人は 最初から完成イメージが明確なため 仕上げを踏まえた作業の進め方を

遠・中・近の3層でシンプルに考える

がんばって描き込んでも遠近感が出ない 絵にまとまりがなく見づらい 奥と手前のコントラストがチグハグになる と悩んでいる方はいませんか? 僕も以前は下の写真のような絵を描くときに 時間をかけて描き込めば描き込むほど 遠近感がなくなっていくという失敗を繰り返しました 今思えば 遠景、中景、近景とグループ化して考えていなかったことが 失敗の大きな原因だったと思います そこで、この記事では上の写真のように 同じようなものが連続している景色で 遠近感を表現しなければいけないよ

初めてエアブラシ使う人には、こんなこと教えてます

アニメの背景では2010年頃から デジタルで描く会社が増えてきたんで 最近じゃアニメの専門学校を卒業しても エアブラシに触ったことがない人がほとんどだと思います そこで独学したいっていう人のために ポスターカラーを使ったエアブラシの基本的な使い方をまとめます エアブラシを使う際の2つの注意点・押しボタンを親指で押す ・マスクをつけるか、塗料を噴くときは鼻から息を吐きながら 押しボタンは下の写真のように親指で押してます 人差し指を使っちゃうと腱鞘炎みたいになっちゃうから親

僕がグラデーション幅をコントロールできるようになった理由

僕は専門学校のとき下図のような ポスターカラーの3色のグラデーションの課題が苦手でした 思ったようにグラデーションの幅をコントロールできなかったんです 青空にも使う基本的なものなんで これができないと雲の練習もできません 今思えば原因は次の2つのことが分かっていなかったからだと思います ・絵の具によって混ざりやすさが違う ・いつも同じペースで筆を動かしていた この2つの関係性を理解したら グラデーションの幅を自在にコントロールできるようになりました 結論から言えば 絵の

実験:影色は光色の補色って本当か?

影ってなに色を使えばいいんだろう? そんな疑問を持ったことありませんか? ・影に補色を入れた方がカッコイイ ・影色は固有色を暗くする ・影は青い(青空の下では) いろんなことを聞くんですが じゃあどうすればいいの? 本当はどうなるの? どうすればいいの? 僕はずっと知りたかった 今でも答えを探してるんですが 見つかりません そこで 影色は光の色の補色になるのか 実験してみました 実験結果の後に実験内容を説明します 実験結果白色の環境光がある場合には 影色は光色の

3段階ある「グレーを光らせる方法」

グレーを絵具で光らせる方法って どうすればいいか思いつきますか? いくつ思いつきますか? 「知っている」と「できる」では大違い 本で読んで知っていたとしても 技術として使えなければ知らないと同じです そこで僕が背景会社に就職して 知識と経験が結びついていった結果 身につけた順に 3段階の「グレーを光らせる方法」について解説します はっきり言って「明度」「彩度」「混色」この関係性のみです 光を絵の具で再現する「混色」の話と内容がかぶってるんで タイトルの図を見て内容が

「ペンで描く」の作例を模写しはじめようと思います

美術監督の河野次郎さんの美術設定って見たことありますか? いや~本当にすごいですよ 金を取れるってこういうことか!!って感じました 「不二子という女」「異世界居酒屋のぶ」なんかの設定で見たんですが とにかく説得力が半端ない、カッコいい 本編映像でも カッコいいなと思ったBG(背景)のうち いくつかは河野さんの設定を塗ったものじゃないかな?と思います 真似しても すぐに描けるようになるわけじゃないんで とりあえず自分の絵の説得力を増すために 目で見て線を引く時間を増やすし

影中を描く際の2つの陰影のつけ方

日光のあたらない路地や神社などのような影の中を描く際、雨や曇りで光が乱反射している場合、どのように立体表現をしているだろうか? 光源がはっきりとしていれば描きやすいが、光源のない(はっきりしない)状況を描かなければならない場合は、どのように考えているだろうか? 四角い物を描くときには誰が描いても明暗のつけ方に大きな違いはないが、 円柱を描くときにハイライトをどこに持ってくるかで2つの考え方がある その2つの考え方の長所と短所をまとめる ・z軸方向(紙面方向)に円柱が接す

クセを直すのに半年、考え方が変わるのに3年かかった

絵のクセを直したことはあるだろうか? 簡単に直せるクセもあるだろうが 僕の場合はアニメの背景会社に就職してから いくつかのクセを直すのにかかった時間を思い返すと だいたい同じくらい時間がかかっていた 3つ目くらいのクセを直すころには また同じくらい時間がかかるだろうから焦っても仕方ない じっくり矯正していこうと思っていた この考え方が正しいかどうかはわからないが まだクセが治らないという焦りはなくなった 参考になるかはわからないが 具体的な僕の事例は次のようなものだっ

ペンによる印象の違いと使い分け

表現したい作風に合わせてペンを使い分けている人は、どのくらいいるのだろうか?かく言う自分もイラストなどでペンを使い分けることはあっても、スケッチはもっぱらボールペンだった。しかし気分転換にピグマペンに変えたら面白い程印象が違ったので、いくつかのペンを比べてみた 上段2つは現地でのスケッチ。下段2つは自分で撮った写真を参考に描いたものだ。筆ペンのみ溝引きを使っているが、他はフリーハンド ボールペン  ペン先が硬いためストロークの長い直線が引きやすいが、強弱が付けづらく、図面

3色で作るイメージ空間

アニメやイラストの背景でモヤモヤした色の空間を見たことはないだろうか?簡単そうに見えるがコツがわからないと意外と描くのは難しい。選んだ色が近すぎると単調に見え、色味がかけ離れすぎていると色が混ざらなかったり汚い色になってしまう。そこで、今回は色選びについてのコツを書く。 3つの基本的なイメージ背景の色の選び方・おもにキャラクターのイメージ色(おもに髪や服に使われている色)を使う ・キャラクターのイメージ色を目立たせる色を使う(イメージ色は使わない) ・キャラクターの状況や

画面に色を散りばめるときは時は三色を三角に

看板や本棚、家具や小物などいろんな色がランダムに配置されているような感じを出したいときには、まず三色を三角形に配置してから隙間を適当に埋めるようにしている 誰かに教えてもらった覚えはないが三角構図という言葉を覚えた時に思いついたんだと思う むやみに色数を増やすと描くのが大変だから何とか効率よく描けないかと思っていたからだ キャラの立ち位置にもよるが最初に大雑把に配色する時点でカッコイイ配置や視線誘導などを意識する。あとは隙間を埋めるだけ。隙間が思った以上に広い場合は3色