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探究のメモ(1)

・ 終わらない作業を解決するために役割分担することは解決に繋がるか

学校でPBLを展開する上の難点の一つは、授業時間内では完結しないことだ。普段の授業であれば教員の差配により時間内に予定調和的にまとめ上げられる授業が終わらないのである。進行も取り組みの深さもグループによって差異が大きくなりがちだ。探究において「もっと知りたい」「わからないことをわかりたい」と生徒がなることを目指すのであれば時間の制約と相性が悪くなることは自明である。

こうしたときに解決策として、タスクを分担するケースがある。しかし、話し合いでタスクを分担したところで生徒にとって負担感、責任感はバラバラである。授業時間内に収まらず、授業外で調べたり考えたりすることになったときに果たして生徒はやり遂げることができるだろうか。生徒は忙しい。個々に抱える事情もあり、学校外での作業はしにくいことが多い。 タスクを分担するだけでは凌げない余裕のなさが生じるだろう。それぞれの負担感を個々の事情において調整することもプロジェクト運営では重要なことである。しかし、生徒個々によって責任感、思考の深さ等々の際は大きい。授業外の作業になると、個々の作業の成果をグループに持ち寄ったとき、その出来具合によってグループ内での軋轢を生むこともあるだろうし、作業の進行が大きく遅れていることに気がつくこともある。こうした調整を含めて、授業時間内に示唆できるだろうか。グループごとの温度差も大きいだろうから個々のグループに対応することになる。

さて、その時間をいかに担保するか。


•  タスクベースからモチベーションベースへの転換を感じさせる

タスクベースで探究活動をしていると、上記のように生徒個々の作業ペースや深化に濃淡ができる。また、タスクをこなすだけとなり、学ぶことが少なくなる。PBLの良さは多面的に能力が身につくところだ。それにタスクベースでは長続きしない。この状態を越えるためには、タスクベースをモチベーションベースに転じさせることだと言われる。モチベーションベース、つまり課題に対して「当事者性」や「主体性」を持たせることだ。

理想的には、生徒が課題に対して好奇心を持ち、解決したいと自然に思ってくれると良い。しかし、与えられたテーマにも興味が湧かず、課題を見出しても当事者性がなく解決に気持ちが向かないことは決して少なくない。それにタスクベースからモチベーションベースに切り替えに気づくにはそれなりの時間を要する。

では、最初からモチベーションベースで展開できるだろうか。


•  「わからないことがわかるようになること」が学ぶことであればその学ぶことを楽しめるか。そしてそれは探究に繋がるか

モチベーションベースで課題に立ち向かうと、わからないことがいっぱい出てきて、それを解決するためにわかろうとする。それが学ぶことであれば、モチベーションベースで何事も取り組めば良いだろう。しかし、本当にそれはできるのだろうか。内発的にわかりたいと思う、解決したいと思うことは、やはり当事者性や好奇心を抱く必要があるだろうが、当事者性を生んだり好奇心を持つものとはどんなものだろうか。それがテーマや課題となれば探究活動は容易になるのだが。そうしたことを生徒に提示できるだろうか。個別性が高いのではないだろうか。そこに共通項はあるのか。

テーマを大きく捉えることは可能だろう。生活や社会、自然や生命といったものをテーマにすれば大方のことはそこに収まる。ところで、これらは教科として設定されたものではないだろうか。総合的な探求から教科の探究へ。教科の探究から総合的な探究へ。この往還によって探究することに慣れていくことがモチベーションベースになりやすくさせるのかもしれない。

こうした仮説をどんどん積み重ねていけば、探究的に学ぶ手法を見出せるのではないだろうか。

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