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ブルース・スプリングスティーン「レター・トゥー・ユー」

仕事が終わらず、日曜日だが出勤。それでもまだまだ終わらない。コロナ以降いろんなことにいろんな影響が出て、ストレスと疲労が蓄積する。疲れますね〜。また円形脱毛にならなければ良いが笑。

先週から今日まで通勤と帰宅時はずっとこれを聴いて、自分を奮い立たせてました。ブルース・スプリングスティーンの新作「レター・トゥー・ユー」。クレジットを見ると、ゲストなしの純粋なブルース・スプリングスティーン&Eストリート・バンドでの録音。しかもスプリングスティーンのヴォーカルも含めなんとスタジオでの一発録り!

最初聴いてまず印象に残ったのは、1970年代初期に書かれたという3つの作品。どれも感情があふれ出るような、まさに初期のスプリングスティーンらしい楽曲。特に「イフ・アイ・ワズ・ザ・プリースト」が素晴らしい。曲が最高潮に達するとき絶妙なタイミングで熱く吹かれるハーモニカなど、もう切なくてたまらなく心が揺さぶられる。

2回3回と聴き進め、アルバムの全体像が分かってきて、そして1曲1曲の魅力も見えてくる。2000年代の「ザ・ライジング」以降にアップデートされた、重く厚みのあるEストリート・バンドのサウンドが基調。ただ今作はよりデジタルっぽくない音質というか、何か暖かみのある音の感触で、だから何度聴いても飽きが来ないのかもしれないなとも思った。それに加え、「明日なき暴走」や「闇に吠える街」や「ザ・リバー」や「ボーン・イン・ザ・USA」など70~80年代の傑作群でのあの曲っぽいフレーズでは!?などところどころで(自分には)聴こえてきて、煽られる。

歌詞も良い。「ラスト・マン・スタンディング」、「ハウス・オブ・ア・サウザンド・ギターズ」、「ゴースト」は、ロックンロールや音楽が人生にどれだけ力を与えてくれるかをまっすぐに歌っている。

特に「ゴースト」はスプリングスティーンの新たな代表曲と言っていい内容ではないだろうか。「あなたのレスポールを肩にかけ、指で弾いてみる/私たち以前の先輩たちに誓う/ボリュームを上げ、彼らの魂に導かれる/兄弟姉妹よ、彼岸で会おう」この静かで深遠な雰囲気の部分でギターがギュワーーン!と鳴り、曲はクライマックスに向かい、最後は全員でメインのメロディを大合唱という鉄板の盛り上げ方。この高揚感!ライブで観たら泣くかもしれない。

それらどこか集大成的なものへの感慨と同時に、Eストリート・バンドのバンド・サウンドそのものの魅力も今回再発見できた。腕利きのミュージシャン揃いだが、楽曲内でのソロが驚くほど少ない。あっても短い。各楽器が渾然一体となって重なりあって混じりあって大きな音の固まりとなって、スプリングスティーンの歌の世界の骨格を作り、ドラマティックに彩りを加える。ドラムとピアノ以外の楽器の、濁りのある音の響きもあらためて新鮮に感じた。編曲などなく、何か自然に作りあげられているような感じがまたすごい。

「オン・ブロードウェイ」「ウェスタン・スターズ」そして今作「レター・トゥー・ユー」。2年ほどで立て続けに傑作を連発する(しかも3作ともカラーはバラバラ)、70歳超えのブルース・スプリングスティーン。自分も文句と愚痴ばっか言ってないで頑張ります。

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