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赤木りえ「魔法の国の魔法のフルート」

なんか一気に寒くなってきましたね。娘は修学旅行に今朝から出発。晴れて良かった。

最近はこれをよく聴いていた。赤木りえ「魔法の国の魔法のフルート」。今年6月に発売された新譜。このアーティストの作品は今まで聴いたことがなかったが、過去作をサブスクで聴いてみたら良かったのと、何よりラリー・ハーロウがプロデュースという情報に心が躍り、今作購入。

1曲目のセッションから70年代サルサ全開の音で熱くなる。3曲目「ホワイト・バード」で自分の中でスイッチが入った。特にパーカッションによる猛烈なグルーヴ。揺らぎ、間(ま)、ずれ、そういったものが高速のリズムのもとで生み出され、繰り返される。思わず体が動き出してしまう。ラテン良いわー。

クレジットを見ると、御大ハーロウを始め、ニューヨークのラテン・ジャズ・シーンで活躍するベテラン・大御所が参加メンバーに名を連ねている。リアルでの体験はないから想像ではあるのだが、ニューヨーク・ラテンの臨場感が溢れている音なんだと思う。とにかくこの勢いと熱気は本当に驚く。

7曲目「カルテーラ」後半で登場する実に哀感漂う音色と旋律のヴァイオリンは、ルイス・カーン。ファニア・オールスターズにも在籍したユダヤ系のラテン・レジェンドで、今年初めに亡くなった。今作が彼の最後の録音となったそうだ。

最も耳を奪われたのが、8曲目「SHI WA ZU」。後半で爆発するパーカッションのグルーヴ、印象的なピアノの不協和音、自在にそして正確に動くリーダー赤木の魅力的なフルートの音。これはもう盛り上がる。

60年代後半から70年代初めのロックを意識したという赤木自身の今作への言及もあるが、個人的にはそちらより、70年代ニューヨーク・サルサの熱さを2020年に見事に復権させた作品として聴けた。その点で2018年のエディ・パルミエリ「フル・サークル」と通ずるものがあるかもしれない。

最後に強調したいのが、このCDのライナーノーツ。アルバムの詳細な解説、参加ミュージシャン紹介、赤木本人のテキストなど、読み応えたっぷりで充実している。配信全盛の時代でこういう力の入った商品は貴重だと思う。

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