2024 1月号 格闘技におけるリングドクターというお仕
皆様、新年あけましておめでとうございます!
年末年始はいかがお過ごしでしたでしょうか!?大晦日には格闘技のビッグイベントがあったのを御存知の方もいらっしゃるかもしれません
格闘技の大会を支えるリングドクターと呼ばれる人たちが裏方に居るのですが、今回はリングドクターの仕事について知られざる裏側の世界を深堀りしてみたいと思います。
格闘技だけではなく様々なスポーツ大会には大きなイベントになればドクターが待機していることが多く、実は学校の運動会にもスタンバイしていたりする場合もあります(特に父兄の中にお医者さんがいたりするとお声がかかったりします)。
その目的は主に、熱中症、脱水、万が一の時のAED対応、救急車の要請などがあります。大きな対応なく終了することの方が多いのですが、かなり低い確率ではありますが心肺停止などの対応をしたというニュースもあるので、特に大きなイベントの場合はやはり「医師を用意した」という主催者の責任を果たすところに大きな意義があり、スポーツ現場に医師が一人でもいれば主催者側としても「あとは先生よろしく」とできる安心感につながると思います。
ただ、医師がどこまで責任を負うべきか、どこまでの処置を行ってよいのか、行うべきかなどは色々と明確でない部分が多く、以前法的根拠に基づく考察をまとめましたので、良かったら読んでください。
【2023 7月号 コラム#4 スポーツ現場での医療行為は合法?】
https://note.com/gotokuji_labo/n/n2a764fcb98b7
そんな大会ドクターという意味で格闘技の大会では外傷やトラブルが多いために特に必要不可欠で、他の競技よりも出番が多いので「リングドクター」という独特の呼称が定着しているのだと思います。
なぜ必要不可欠かというと、まず第一に格闘技は相手を戦闘不能に追いこむことをゴールにした競技だからです。「戦闘不能になる=どこかが壊れる」を意味し、KO負けをした選手はもちろんのこと、勝った選手も闘いの代償で拳や足が折れることは日常茶飯事で、何らかの怪我が発生する確率は総合格闘技だと出場666選手当たり325件(J Jpn Soc Surg Hand 2023 39:734-737.)と出場した選手の約半分が怪我をするという恐るべき競技で、試合後は怪我人の応急処置が必要になることも多いです。
また、試合中に裂創を負い出血が多量になった場合や重症外傷が疑われる場合にドクターチェックを要請されリング上に上がり傷や患部を確認し、どうしても試合継続が困難な場合はドクターストップの判断を下す場合があります。
それ以外にもリングサイドとバックステージそれ以外にも様々な役割があり、このあたりのマニアックな世界を徹底解説したいと思います。
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