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アダストリア(2685)の業績修正を分析してみました

4月に株Berryさんの個人投資家向けIRに登壇します。
株Berryさんがアダストリアの決算分析されていましたので、気まぐれで私の見解を加えてみたいと思います。

登壇するイベントはこちら。

業績の修正発表について

アダストリアさんは、2021年3月18日に業績の修正を発表されました。

内容的には、先回発表から減収増益となっています。

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その内訳を見ますと、売上が約52億減って、経常利益が約40億増えています。

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修正の理由には、このように書いてありました。特筆すべきは、”販管費の抑制”と”経常収益として雇用助成金を計上した事”にあるようです。

第3四半期 四半期報告書の分析

少し振り返って、2020年12月29日に発表されている四半期報告書を確認してみましょう。

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出典:アステリア2021年2月期第3四半期 四半期報告書

この時点で、経常利益は31億となっており、さらに今回の発表で40億になっていますので9億円ほどプラスになっています。

上の表で気になるのは、営業利益が17億のプラスなのに、経常利益が倍以上になっている点です。2020年のデータを見ますと、通常は、営業利益と経常利益でほとんど差がありませんので、今年が特別であることが伺えます。

その要因を調べていくと、経常利益が増えている要因は「雇用調整助成金」のようです。

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出典:アステリア2021年2月期第3四半期 四半期報告書

雇用調整助成金とは、「新型コロナウイルス感染症の影響」により、「事業活動の縮小」を余儀なくされた場合に、従業員の雇用維持を図るために、「労使間の協定」に基づき、「雇用調整(休業)」を実施する事業主に対して、休業手当などの一部を助成するものです。

緊急事態宣言などでの休業を余儀なくされたことから、一過性で発生する助成金で経常利益が大幅に押し上げられていることが分かります。その額、16億58百万。すごい金額ですね。

決算説明補足資料の分析

そして、さらに抑制された販管費を見てみましょう。

第3四半期の決算補足資料をみてみると次のように説明されています。

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販管費全体では約15億円抑制されていますが、内訳を見ますと、一番大きいのは人件費である事がわかります。その額7億円。

そして、その理由は、「業績に応じた賞与支給額の変動」となっており、コロナによって業績が悪化したことに伴って、従業員への賞与が削減されたことで7億円ほど抑制されたということが推測できます。逆に言うと、業績が戻ってくると賞与は元の水準に戻るでしょうから、人件費の水準も元に戻る可能性があります。さらに、次に大きな削減項目となっているのが設備費の4億円です。その理由には「家賃減免を継続」とあります。おそらく、コロナで休業していた等の理由により、家賃が一時的に減免されたと推測されます。こちらもコロナによる一過性の削減とみるのが自然な感じがします。

この2つを足しますと、コロナによる一過性の販管費抑制額は約10億円となります。

コロナによる一時的な影響が増益の要因か?

このように見てみますと、

・コロナの雇用助成金で+17億

・コロナの賞与削減、家賃減免で+10億

合計で27億円がコロナによる一時的な影響であると考えることができるのではないでしょうか。

WEB事業に期待

一方で、店舗を伴わないWEB事業はコロナで非常に伸びているようです。

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継続的に業績が向上するには、本業の稼ぎを示す営業利益が大切ですので、今後に注目ですね。

感想

昨年の有価証券報告書を拝見しますと、過去5年間安定的な売上推移と利益推移が確認できました。社会環境など状況に合わせてしっかりと財務数字をマネジメントされている印象でした。今回の分析からは、コロナで大変な事業環境にもかかわらず、なんとか利益確保されようとしている姿勢が感じ取れました(勝手にですが)。WEB事業など新しい成長も見受けられます。開示書類などから私も学ばせていただくことが多くありました。今後のさらなる成長に期待したいですね。





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