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そもそも経済#2 「いい円安?悪い円安?」

円安が止まりません。6/8には1㌦=134円台となり、連日で20年ぶりの円安記録を塗りかえました。最近は「悪い円安」という言葉が増えましたが、10数年前は「円安=日本にプラス」という捉え方が多くありました。いったいどうなっているのか、現状を整理します。

まず結論

円安はプラスかマイナスか。答えは識者の間でもはっきりしていません。恩恵を受ける人もいれば、負担をこうむる人もいます。それらを全部足し合わせてどうなのか、結論はでていません。

ただ、エコノミストの間でほぼ共通しているのは、かつてほど「円安メリット」が強くなくなってきたことです。また「悪い円安」との評価が増えてきたのも事実です。「悪い面」「いい面」にわけてみていきます。

MacBook Airの新作が…

6/7、MacBook Airの新作が発表されました。アメリカでは税抜きで1199㌦~、日本では税抜きで148,320円~となります。為替レートは1㌦=124円ほどの計算となります。これが仮に1㌦=100円なら、119,900円になります。円安が進むと、海外製品が高くなることが肌感覚でわかります。

円安のデメリットをザっと並べると、下記のとおりです

MacBookの例でわかるように円安になれば、輸入品が値上がりします。日本が輸入に頼る代表的なものは原油などのエネルギー食品、最近はAppleのような電子機器も増えています。

最近はガソリン価格が上昇しているほか、カップヌードルポテトチップスなどメジャーな食品の値上げがあいつでいます。吉野家など外食も軒並み値上げに踏み切っています。これは原油価格や穀物価格の上昇が影響していますが、円安がコスト増に拍車をかける形となっています。

日本は賃上げや個人消費は鈍いまま。需要主導のインフレではなく、供給の事情による苦肉の値上げです。家計にとって負担が大きいほか、企業や店舗にとっては販売数量が落ち込むリスクがあります。

私たちの生活の面では海外旅行のコストも上がります。コロナ規制が緩んできたことで、海外旅行を計画する人も増えているかもしれません。しかし、MacBookと同様、たとえば1000㌦のホテル代・レストラン代は1年前なら11万円程度だったのが、いまは13万円を超えてしまいます。

通貨は長い目でみれば、経済の強い国に人気が集まります。20年ぶりの円安というのは国力の低下を映している可能性もあります。ここ数年、個人投資家の間で米国株がブームになりましたが、円安が続くとの見方が広がれば、投資先を日本ではなく海外に目を向ける動きが強まり、円安が止まらなくなる可能性もあります。

一方でよい面は上記の通り。たとえばトヨタのような輸出企業は海外で稼いだ利益を円で換算すると、円安時に利益が膨らみます。東京株式市場に上場する企業は製造業や輸出企業の割合が比較的高く、「円安→株高」となりやすい傾向もあります。

似た話ですが、円安になればトヨタのような企業は海外での競争力が増すため、国内で作った製品の輸出が増える可能性があります。生産が増えれば、下請け企業に恩恵が広がるほか、雇用も増える効果が期待されます。

ただ、この効果は過去10年あまりで日本企業が海外現地生産を増やしてきたため、「円安→輸出増→雇用増」の波及はゼロではありませんが、弱まっています

外国人観光客の増加も期待できます。日本人が海外旅行のコストが高まるのと逆に、たとえばアメリカ人からすればホテルやレストラン代がドル換算で安くなります。ここ数年はコロナで観光がストップしていましたが、今後の規制緩和とともに外国人観光客が戻るようであれば、円安が流れを後押ししそうです。

もちろんこれも一長一短。日本経済としては観光収入が増えるのはいいことですが、消費者の立場にたてば、外国人が増えることでホテルやレストラン、観光名所が混雑し、価格も上がりやすくなる可能性があります。

さらに外貨建て資産の価値上昇という効果もあります。外国株などに投資している場合、円安になれば円換算の評価額が増えます。もちろん、株価が下落すればトータルで損失となる可能性もあります。

きのう配信したように米国株の代表的指数のS&P500は円換算でみると、昨年末比でプラスに浮上しました。米株安を円安が相殺したかたちです。

▽関連記事 https://note.com/goto_finance/n/n4528b4ef719e

このように円安がプラスかマイナスかは当事者によって異なります。また、全体でプラスかマイナスかどっちなのかは識者の間でも見方が分かれています。ただ、鈴木財務大臣は輸入企業や国民の負担増を踏まえ、「悪い円安」と表現しました。ちょうど原油高や穀物高で、悪いインフレが進む中でもあり、世論が円安を警戒するムードもこの数カ月で広がりつつあります。

今後の焦点は上記の通り。円安が進むかを左右する最大のポイントはアメリカのインフレや利上げ動向です。詳しくは下記の投稿で説明しています。
▽関連記事「円安なぜ?」 https://note.com/goto_finance/n/nec5e34764d6e

円安が続くようであれば、「悪い円安」の議論がメディアや国民、政治家のあいだで広がるかもしれません。その時に日銀はこれまでのように「粘り強く金融緩和を続ける」として、円安を助長する政策運営を続けられるかも注目されます。

今後のマーケット動向や様々な世の中の反応は、私のTwitterやnoteなどで適宜お伝えしていきます。

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6月はこのような記事を多数配信します。というのも7月からnoteを月額有料(500円~)とする予定で、6月の無料記事はサンプルの意味合いを込めています。どなたにもわかりやすく、できるだけ客観・中立に、最近の経済・金融ニュースの深掘りや、資産形成に役立つ情報を多数配信していく予定です。

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後藤達也

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