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S&P500 円換算で今年プラスに

米国株安――。今年に入り、多くの方がこのニュースを耳にされたかと思います。ただ、同時に円安も急速に進みました。日本人からすると、円換算でみた米国株は、実は昨年末比でプラスに転じています。どんな状況かグラフでみながら、分散投資の重要性を考えてみます。

まずは為替のチャートです。ことし3-4月に大きく円安が進み、この1週間ほどで再加速。1㌦=133円20年ぶりの円安水準となりました。2021年はじめは103円台、2022年初めは115円台だったことを考えるとかなりの円安です。

では円安になると、海外投資はどうなるのか。単純化した図で確認しましょう。

昨年末に100万円を元手に米国株投資に踏み切ります。当時の1㌦=115円のレートで、100万円は8700㌦。これをS&P500(アメリカの主要500社へ投資する代表的な指数)に投資します。この半年ほどでS&P500は13%下落したので、8700㌦は7590㌦に目減りしてしまいました。ところが、円安が進んだため、上記のように7590㌦は101万円に。1万円のプラスとなりました。(単純化のため、手数料などは無視しています)

グラフでみると、次の通り。3月以降の円安が、米国株安を相殺していることがわかります。

S&P500はアメリカの主要企業500社で、日本人も投資信託などを通じた購入がここ数年で増えました。2020年はじめからの損益を円換算でみると下記の通り。ここ半年は調整もありますが、いまなお史上最高値圏にあります。

Apple, Amazon, Teslaなどテック・グロース株が中心のNASDAQはどうでしょうか(下記)。年明けからの株価調整がより厳しかったので、円換算でもまだ年明けでマイナスとなっていますが、やはり円安が米国株安のクッションの役割を果たしています。

為替があまり動かないときには米国株投資の際も円相場はさほど気にしなくていいかもしれません。ただ、いまのような急激な円安の時には為替への目配りが重要になります。

今後さらに円安が進むとの見方も増えていますが、反動で急激な円高が起こることも否めません。仮に「円高&米国株安」となれば、円換算の米国株投資はダブルパンチとなってしまいます。日々の為替動向や、それを決める日米金融政策や景気などの動向にはこれまで以上に注意が必要です。

同時に、円安時には国際分散投資の重要性にも気づかされます。仮に円資産の銀行預金しか持っていなければ、円安が急速に進んだときに資産価値は相対的に減ってしまいます。わかりやすくいえば、iPhoneや海外旅行の値段が円換算で上がってしまうのです。そうしたリスクを軽減するために、ある程度、資産の一部を海外資産としておくことは賢明だと思います。

とはいえ、最近はアメリカ株も不安定です。再び急落するリスクも否めません。このため、資産やライフステージにあわせて、あまり投資額を増やしすぎないようにする慎重さも大切です。株だけでなく、債券など比較的リスクの低い海外投資もあり、投資信託などで低コストで簡単に買うこともできます。

以下、簡単なまとめになります。またマーケット状況が変動すれば、適宜、noteなどでリポートしていきます。

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6月はこのような記事を多数配信します。というのも7月からnoteを月額有料(500円~)とする予定で、6月の無料記事はサンプルの意味合いを込めています。どなたにもわかりやすく、できるだけ客観・中立に、最近の経済・金融ニュースの深掘りや、資産形成に役立つ情報を多数配信していく予定です。

まずは6月のサンプルをご覧いただいて、お気に召しましたら、来月購読をご検討いただければ幸いです。

後藤達也

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