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どうなる日銀会合(4/28)

きょう4/28(木)日銀の金融政策決定会合が開かれます。3月以降、急速に円安が進んだことで、注目が急激に上がりました。いまの金融緩和は続ける可能性が高いとみられていますが、黒田総裁の発言次第で円相場が大きく動くこともありそうです。ポイントを簡単に整理します。

会合の終了時刻は決まっていません。慣例では11:30-12:00ごろに結果が公表されることが多くなっています。さらに15:30~黒田総裁の記者会見が開かれる見込みです。

◆結論

市場の見立てや観測報道を総合すると、上記のようになる可能性が高そうです。政府から「悪い円安」発言や物価高騰対策が打ち出されるなか、円安につながる金融緩和の継続には負の面もあります。ただ、日本は賃上げや個人消費の鈍い状況が続いており、日銀はこれまで「強力な金融緩和を粘り強く続ける」としてきました。

◆インフレ対応は?

そうはいってもガソリンや食品の値上げが目立っており、「インフレなら金融引き締めでは?アメリカもそうなっているはず」との疑問もあるかもしれません。

たしかに4月以降にはCPI(消費者物価指数)は2%程度に上昇することがみこまれています。ただし、この「2%」は日銀の「2%物価目標」とは性格が異なるものです。

左にあるように最近のインフレは原油穀物など、海外消費市況の高騰による面が大きくなっています。そこに円安が加わり(←同じ100ドルのものを買おうとしても円安になると円換算の値段が上昇)、輸入物価を一段と押し上げています。

輸入企業にとってはコスト上昇になります。販売価格を値上げすれば利益は確保できるかもしれませんが、日本の個人消費は鈍く、値上げは客離れを招きかねません。逆に値上げを見送ると、その分、利益が圧迫されてしまいます。

つまり、値上げは個人消費に逆風になり、値上げを見送れば企業収益を圧迫するという構図です。こうしたコスト主導の値上げは景気に基本的にマイナスです。一時的に物価は上がるかもしれませんが、長い目でみたインフレにはつながらない可能性があります。

日銀は右表のように「賃金上昇→強い消費→値上げ→企業収益改善→賃金上昇」という好循環を目指しています。これは左の状況とはかなり異なりますね。このため、日銀は春先のインフレには利上げで対応するのではなく、むしろじっくり金融緩和を続けて、持続的な物価上昇を目指そうとしています。

◆とはいえ…

とはいえ、上記のように急速に円安が進んだことに政府は警戒を示しています。黒田日銀総裁も4/18に「過度に急激な変動は不確実性の高まりを通じて、(経済に)マイナスに作用するということも考慮する必要がある」と話しました。

129円という20年ぶりの円安の「水準」だけでなく、変動の「勢い」も重要です。急激な為替変動は企業の経営計画に悪影響を及ぼすためです。

日銀は円安を阻止するためにあわてて利上げするという可能性は低そうですが、黒田総裁会見などでこうした円安への警戒を示す可能性が高そうです。そのうえで、将来の金融緩和の修正の可能性をどの程度示唆するのかが注目点です。

◆日銀の金融政策は?

日銀の金融緩和の中身は複雑ですが、大きな柱が「10年物国債の利回りを0%に誘導する」ということです。詳細は下記の記事「指値オペとは?」で説明しています。https://note.com/goto_finance/n/n8b6a5365b350

将来、この「0%誘導」を柔軟にして、もう少し自然な形での長期金利の上昇を促す修正を促すのではないか――こんな見方が市場でささやかれています。きょうの会合で一気に話を進めなくとも、将来その可能性があるならば、少しずつ地ならしを進める可能性があります。

こうした政策修正の可能性をかなりにおわせてくるようであれば、為替市場では円高方向に振れる可能性があります。一方、「粘り強く金融緩和」「政策修正は考えていない」といったスタンスならば、一段と円安が進む可能性があります。

◆速報します

正午ごろの結果発表や15:30~の総裁会見ではTwitterで適宜速報します。内容によって、YouTubeやnoteで解説もする予定ですので、ご興味のある方はぜひご覧ください。

【お知らせ】無料期間、延長

noteの投稿、「5月からの課金」をお知らせしてきましたが、5-6月も無料で続けます。理由は2つ。

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2022年4月28日 後藤達也

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