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僕のギターはフェルナンデス・その2

2本目のエレキギターもフェルナンデスだった。「はじめて買うならジュニアとかじゃなく、ちゃんとしたの買った方がいいよ」と言う店員さんのアドヴァイスでレス・ポール・スタンダードを買ったものの、どうにも重くて軽いのが一本欲しいと思うようになっていた。

就職して、バンドをまた始めたのだが、前回書いた通り、同僚で組んだパーティーバンドだった割に、宮益坂の三浦ピアノの2階を借りて自主ライヴをやったり、パンクロックのファンジンよろしく小冊子を作ったりした。そうそう、バンド名は7th HeavenからThe Intelligence Lostと変わっていった。この自主企画をやったあたりでふと覗いた楽器屋の店頭にあったのがフェンダー・エスクワイヤーのフェルナンデス製コピーモデルだった。

手に取ると、軽い。レス・ポールに比べたら大抵のギターは軽く感じると思うが、実際に軽かった。クリーム色のボディーに黒のピックガード。エスクワイヤーだからピックアップは一個しかない。なのに切り替えスイッチが付いていて、前に倒すと、思いっきり曇った音色。真ん中はトーンコントロールが効く。同じように後ろに倒すと、パリッパリの鋭い音。不思議な感じだった。確か、38,000円。レス・ポールは65,000円だったから、軽い&安い、ということで即購入した。

The Intelligence Lostは、最初のうちこそバンドをやりたいと言う欲求を満たしてはいたが、毎週のように各人が持ち寄った曲をカバーするルーティンがだんだん苦痛になってきた。自分で書いた曲をやれるバンドを組むべきではないか、との結論に達した僕は、そのバンドを突然、脱退した。

脱退したものの、行く当てもなく彷徨っていると、2人いたヴォーカリストのうちのひとり、N氏が「一緒にやりたい」と言って同じく抜けてきたので、僕の大学の先輩ドラマーを誘って、トリオを結成した。これがKAMIKAZE!である。N氏の英国でのトレーニーが決まっていたため、解散ありきで組んだと言うことから、そのN氏が命名した。

さて、予定通り、N氏は英国に旅立ち、僕は再び1人になった。と、そんなある日、勤務先に「この会社で音楽祭を始めよう」と奮起したヤツがいて、僕も一緒になって音楽祭を立ち上げた。そうなると必要なのは自分のバンドである。再び同僚に声をかけ、4人編成のバンドDessertを組んで、音楽祭でデビュー、その後もスタジオライヴなどを企画していたが、普通の会社では考えられないと思うが、音楽祭が刺激となり、元からあった工場などの音楽部が活性化し、社内バンドがニョキニョキと出現しはじめたのだ。そんなことを背景に、ベーシストが「音楽性の違いから」抜けてしまった。

バンドをやっていると、解散が付きものであると同時に、意外なところで人との出会いがある。その時現れたのはその後何十年も続いた「ゴトー&カメレオンズ」を組むことになるO君である。このあと3年くらい、O君を含むメンバーで活動した。結婚して長男が生まれ、ジョン・レノンに多大な影響を受けていた僕はバンド活動を休止するのだが、それまでの間、愛用したのがエスクワイヤーだった。

初期のゴトー&カメレオンズ

そう言えば、社内の先輩ギタリストが僕のエスクワイヤーを見て、「驚いたなぁ、本物みたいだ。ただし、音はちょっと違うね!(笑)」とコメントしていたのが強く記憶に残っている。それほど丁寧に仕上げられたレプリカなのだろう。ロゴもフェルナンデスの中では、フェンダー社を思わせるもので、それも先輩ギタリストの目を奪ったのではないかと思っている。

続く

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