山羊の頭から消された男
「今ミックか昔ミックか?」の議論もなぜか懐かしく感じられ、時の経つのは異常に早いとびっくりせずにはいられない「山羊の頭のスープ2020」だけど、このクレジットを見ていて不思議に思ったことがある。
2020バージョンは”NEW STEREO MIX”と称して、ミックスを担当したのはあのビートルズのプロデューサー、Sir George Martinの息子、Giles Martinだ。ビートルズのリイシューを引き受けている筋金入りのビートルズ陣営の人物がストーンズを手掛けてるってのも面白いが、奇妙なのは、彼がリミックスしたものなのにプロデューサーはオリジナル通りJimmy Miller、エンジニアはAndy Johnsとなっているってことだ。
そう、このご両人はすでに天国、ロックンロール・ヘヴンの住人なのである。2020年に新たにミックスされたアルバムをプロデュースできる訳がない。まぁ、そこは、オリジナルに敬意を表してのことかも知れないが、ちょっとしっくりこない。
さらに見ていくと、オリジナル・アルバムのアシスタント・エンジニアとしてリストされているDoug Bennettの名前がない。
うっかりミスなのか、なんらかの意図があったのか、まるで日本の政府みたいな現象だ。おっと、ストーンズらしく黒く塗ってあったらよかったかな?(笑)いや、これは笑えないジョークだ。
なぜ、Dougが消されてしまったのか。Dougはそんなぞんざいに扱われるような人物なのだろうか?そもそもDougって誰?と言うことで調べてみると、彼はオリンピック・スタジオの全盛期のエンジニアのひとりで、この「山羊の頭のスープ」以外では、ドクター・フィールグッド「不正療法」、ストラングラーズ「VI」「ノー・モア・ヒーローズ」をはじめ、バズコックス、999、イアン・ハンターなどを手掛けていて、なかでもストラングラーズで名を成した人物なのだ。そんな人物を消してしまうなんていったいどうなっているのだろう??
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