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フリー電子ZINE「蟄居通信」をはじめます

以前からZINEをつくりたいと思っていて、
けれど、昔仲間たちと文芸同人誌をつくっていたときのようにはできないな、とも感じていました。
昔と違って編集をしてみたい、ということもありました。
もっと自分の手の届く範囲で取り組めないものか、と思ってたどりついたのが、メルマガ。
いまどきメルマガ?と思われるかもしれません。
それに、趣味(非営利)のメルマガなんてあんまり聞いたことがない。
メルマガといえば、ひとつ登録したら身に覚えのないものまでメールボックスに舞い込んでくるような、もしくは読みたくて登録したものの結局開封せずに忘れ去られ、いつかはアーカイブの海の藻屑となるような、そんなイメージを持っていたから。

さて、ここに至るまでのことも少し書きます。
コロナ以前はわりに忙しくしているほうで、
仕事以外にも自分でものづくりをして発表したり、
ライブのサポートをしたりするだけでなく、
観たいもの・聴きたいもののためにどこへでも足を運び、
友人からの誘いは基本的に受けるということをやっていたので、
週末はあんまり家にいないこともしばしばでした。

コロナ以降、繰り返される自粛要請という矛盾、
毎日更新される世の中の酷いありさまと報道、
分断されるようで見ていられないSNS、
計画しては白紙にしてきた予定たち、
何より将来の先行きの見えなさに少しずつ消耗してしまって、
一人で家にいるだけで参ってしまうようになりました。

ニュースサイトやSNS、世の中の状況も友人の近況も、
インターネットには溢れんばかりの情報に満ちていて、
ユーザーインターフェイスは常に世界に開かれているのに、
自分は部屋でひとりきり。
タイムラインを眺めているだけで疲弊することもありました。

ところで、
わたしはかつて、確かにインターネットが好きでした。
初めて触れた20年ほど前は、
ささやかな趣味のために当時はまだ奥行きのあるモニターを起動し、
夜な夜なワールドワイドウェブの恩恵にあずかっていました。

ブラウン管モニターが消え、
インターネットが手のひらサイズのモバイルから閲覧でき、
ポケットの中は常に世界と接続するようになりました。
ニュースサイトやSMSを毎日チェックするようになってから、
インターネットの使い方が変わったのだと思います。
インターネットが生活と切り離せなくなったことで、
あの頃の特別感はなくなってしまいました。

ただ皮肉なことに、このような状況では、
部屋でひとりきりな自分をつなぎとめてくれるのもまた、
インターネットだったのです。

noteという場所を持ったのは書く場所を確保するためでしたが、
ZINEというある意味ローカルな媒体でやっていくにはややオープンすぎる気がしました。
コロナ中のいまも、終息後の世界でも今後しばらくは、
きっとどこかローカルなつながりがポイントになってきそうだ、
という自分なりのアンテナが働いたこともあります。
わたしは、言うなれば、電子ZINEという名前のメルマガをはじめることで、
ライブハウスでもらえる手書きのフライヤーとかに近いものをつくりたいのかもしれません。
他には多く出回らないけれども、着実に手渡される。
実態はないけれども、そんなローカルな親密さ。
いまからやろうとしていることは、それが実現できるのではないか?という、そこはかとない自信がすこしあります。

メルマガという、ちょっと古い手段、
下手すると俗っぽいイメージは免れませんが、
SNSや他のあらゆる投稿系メディアとはまた違った切り口であること。
メールボックスの中で、開封されてもされなくても、
重要連絡や雑多なDMにまじっていずれはアーカイブされゆく運命にあるもの。
そんな媒体におもしろさを見いだしてくれる人が他にもいるんじゃないか、
と何人かに声を掛けたところ、さっそく原稿が集まりました。本当にありがとうございます。

内容は、蟄居ライフに相応しいコンテンツ、書籍や映画の紹介を中心に構成しています。号外として創作系コンテンツを隔月程度で挟むことも予定しています(詳細は後日ポストします)。
あとは届いてからのお楽しみ(登録フォームは一番最後にあります)。

さて、「蟄居通信」の名ですが、
「蟄居(ちっきょ)」の語を調べてみると、
「家の中にとじこもって外へ出ないこと」
「昆虫などが冬眠のために地中にこもっていること」
「江戸時代、武士や公卿に科した刑の一つ。閉門を命じた上、さらに一室に謹慎させること」
……などと出てきます。
この状況を江戸時代の武士になぞらえるのはユーモアでしょうか、不謹慎でしょうか。
もしくは、まだ見ぬ春を待つ虫たちのように、いつか思いっきり動き回れるようになる日までじっと部屋に籠もり、
瓶詰の手紙をあてもなく流すようにインターネッツの海に配信する。
そんなふうに、ゴタンダクニオなりの目的と手段を兼ねた試みとして、
この電子ZINEというメールマガジンを位置づけたいと思います。

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そんなわけで、1号目は9月配信を予定しています。
メルマガという特性上、アーカイブを残すことは考えていませんので、ご興味があればぜひよろしくお願いいたします。

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