回文集「くるくる・えぶりでい」3/18

きょう３月１８日は「精霊の日」です。精霊（しょうりょう）とは、死者の霊魂のこと。万葉集を代表する歌人の柿本人麻呂、平安期の女流歌人として名高い和泉式部、小野小町。これら三人の忌日が、同じこの日付であると伝えられていることから制定されたそうです。では、回文を。

　
　野を、見ず。生きか？
　詠むよ、
　柿、和泉、小野。
　
［のを　みず　いきか　よむよ　かき　いずみ　おの］

　
野を行く人々の中に、それらの姿は見えない。けれど、あの三人は、精霊となって生き返ったのではないだろうか？　なぜなら、いまにも歌を詠み始めるような気配がしてならないのだ……。　実際には三人の正確な忌日は不詳であり、「３月１８日」というのは伝承に過ぎません。だけど、ちょうど春の彼岸の入りのこの頃、歌人たちの霊魂や、歌を紡ぐ言霊への畏敬の念は、昔の人たちにとって、とても重かったのでしょうね。