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雲山御坊 中庸 2022年1月リニュアル完成!

登録有形文化財の御所坊の建物は建設年度で3つに分かれています。それぞれの建物を雲山御坊、聴水御坊、翠巒御坊と名付けています。
そして客室のグレードを天楽(Deluxe)、中庸(Moderated)、地久(Superior)と分けています。その中庸の3室をこの度改修しました。

雲山御坊 中庸の客室

雲山御坊は玄関のある棟です。明治期には存在していなくて、昭和20年代に大きく改修工事を行い、阪神淡路大震災前にリニュアルを行いました。

玄関から2階に上がった所、大浴場は2階ですので温泉に近く、川沿いの景色も良いので、昔から常連のお客様にご愛顧賜ってまいりました。

しかしお客様のライフスタイルも変化してきています。例えば食事をする際座敷で座るの機会が減り、座敷だとも苦痛を感じる人が増えてきました。
寝具はいつでも横になれるベットの方が良いとか、そのような声も聞かれるようになってきました。

そこで新しいニーズに応えられるようにリニュアルを行うことにしました。

リニュアルのコンセプト

・ワーキングデスクを設ける。

いわゆるワーケーションにも対応できるようにしたという事です。
寝具をベットにした事で、布団を収納していた押入れが不要になりました。その様な空間を活用して、可能な限りのデスクスペースを確保しました。

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・いつでも横になれるように寝具をベット化。

移動の疲れなどで、部屋に入ったら少し横になりたい時があります。
食事が終わってから寝具を・・・
寝具をあげてから朝食を・・・という旅館でのスタイルもどうかな?と思う人もおられると思うのです。

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・ダイニングテーブルを設ける。

多くの家庭で寝室とダイニングは分かれていると思います。
かつての日本の家屋では、ある時はダイニング、ある時は寝室といった使い方をしていました。しかし食事をしている時に寝具は見えない方が良いと思うのです。
最近部屋食を廃止して食事処が増えてきているのも、そのような理由です。
食事処の問題点は他のお客さまと一緒になる機会があるので、それなりの身支度が必要だと思います。部屋で食事をとることが出来ると、そのような心配はいりません。

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ワーキングテーブルは縁側の押入れ部分を活用し、半畳ほどのテーブルを設けました。しかし椅子に座り横を見れば川沿いの景色が見えるように配置しました。気分転換でリラックスして頂けるように、縁側にはマッサージチェアーも配置しています。

寝室部分は、縁側のワーキングスペースとダイニングのスペースを分けて仕切りを設けましたので、プライバシーを保てるようにしました。ベットはセミダブルタイプを2つ用意しましたので、合わせば添い寝のお子様の利用も可能です。

ダイニングテーブルは、御所坊の料理を提供する為の十分なスペースを確保し、鍋物などの料理も提供しやすい大きさのテーブルを確保しましたので、ゆっくりと食事を楽しんで頂けると思います。

各客室の設え

21号室は、玄関の真上の部屋。桜の季節は善福寺の糸桜を眺める事が出来ます。かの与謝野晶子が「花吹雪 兵衛の坊も御所坊も 風に渦巻く」と詠みました。

2022年2月には電線が地中化されるのでさらに景色が良くなる事でしょう。

幕末から明治にかけての有馬郡に関係する人物の書画をディスプレーしています。

22号室は、フィリピン海プレートの方向転換によって生まれた瀬戸内海。東西圧縮により瀬と灘が出来、大阪湾の沈み込み故、大型船が着岸出来る事で神戸港が開港したので、港や船に関するディスプレー。

23号室は、悩んでいるけど最近の御所坊に関わってくれた3人の作家をテーマに考えようとしています。

エルメスのようにできれば嬉しいな!

聞くところによると、エルメスのケリーバックもデザインが変わってないようだが年代に応じて少しづつ変化しているという。

大きくモデルチェンジをするのではなく、熟成するようにステップアップする様な変化を加えられたら良いのではないかと思っています。

初めて来られたお客様は、昔からこうだったんだと思ってもらったら良いし、何度か来られている人は、ベットになったんか!あれ? ここはこうやったかな?というようになれば良いという様な手の入れ方をしました。

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